第22話 葵さんの、嫌がらせ?
「ゆうく〜ん。野菜、持ってきたよ〜。」
そう言う葵の手には、ピーマン、ナス、トマト、
とうもろこしなどが、あった。
……これ、俺の嫌いな野菜じゃん。
「あの〜、葵さん。ピーマンと、ナスとトマトと
とうもろこしって、全部、俺の嫌いな野菜なんですけど。」
「ん?ゆ〜くん、なんかいった?」
俺がそう言っても、葵は、笑顔でそう返すだけだった。……葵、めっちゃ怒ってる。
俺が、神保さんと連絡先を交換したことに対して、
すっごく怒ってるんだ。
……でも、そこまで怒らなくても良くない⁉︎
別に、浮気したわけでもないんだし。
ていうかそもそも、料理作るの葵じゃなくて
俺なんだからね⁉︎嫌いな食べ物を使って、料理を
作らされた挙句、それを食べなきゃいけないって……どんな罰ゲームだよ⁉︎
「あっ、ちなみに、これだけじゃないからね〜‼︎」
そう言って葵は、またどこかへと、消えていった。
……また、嫌いなものを持ってくるのかな?
う〜ん……。さすがに、やりすぎちゃったかな?
ゆうくんに、ピーマンとトマト、ナスにとうもろこしを渡した後、私はそんなことを考えた。
……そもそも、ゆうくんは、優香がゆうくんのことを好きだって、知らないわけだし……。
自分の行動を、優香に嫉妬して、ゆうくんに迷惑を
かけてしまったことに気づいた私は、あるものを手に、ゆうくんの元へと向かった
「ゆうく〜ん。さっきはごめん。」
ゆうくんを見つけると、私はまず謝った。
だって、いくら優香に嫉妬してしまっていたとはいえ、人に迷惑をかけることは、いけないことだから。
「すぐに、ゆうくんの嫌いな野菜、元の場所に戻してくる。……あと、これ、ゆうくんへの謝罪と、日々の感謝を伝えるために、今週末に、クッキーを作ろうと思ってるんだけど、買っちゃダメかな?」
そう言って、私は、
『簡単に、美味しいクッキーが作れる、クッキーの素』
という商品を、ゆうくんに手渡した。
……これなら、目玉焼きを作っていたら、火事になりかけるくらい料理が下手な私でも、クッキーを作れるよね?
「うん。別に買ってもいいよ‼︎……あと、野菜のことなんだけど。俺、頑張って食べてみるよ‼︎今までは、食べることから逃げてたけど、今回の件を
きっかけに、嫌いな野菜を克服してみるよ‼︎」
……ゆうくんって、やっぱりかっこいいな。
優しくて、一生懸命で。
きっと今、ゆうくんは、私が責任を感じてしまわないように、こんなことを言ってくれたんだろう。
なんで私がそう思ったか。それは、ゆうくんの目が原因だ。ゆうくんは普段、相手の目を見て人と話している。しかし、ある時は、必ず上を見ながら話すのだ。そう、嘘をついたり、何かを誤魔化そうとしている時は。
そしてさっき、ゆうくんがあの言葉を言った時は、『私の目』ではなく、『スーパーの天井』を見ながら言っていた。
そう、つまりあの言葉は、本心ではない。
と言うことだ。
……ゆうくんって、本当にずるいよね。私ばっかり、どんどんゆうくんのことを好きになっちゃう。
ゆうくんは、きっと私のことなんか、ただの幼馴染だとしか思ってないのに。
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