第14話 朝6時だよ、葵さん‼︎

次の日の朝、俺はいつもより、1時間早い6時に起きた。別に部活の朝練があるわけでも、委員会の仕事があるわけでもない。……そもそも、俺は部活にも委員会にも入ってないし。

それならなぜ、普段より1時間も早く起きたのか。

それは、葵と一緒に、歩いて登校するためだ。

自転車を使えば、30分もかからずに着く、うちの高校だが、歩いていくのであれば、少なくとも1時間はかかると思う。信号に、全部引っかかる可能性とか、途中で何かハプニングが起こる可能性もあるので、余裕を持って、1時間30分前には、出よう。

と、昨日2人で話し合った結果、決まったので、いつもより、1時間も早く起きていると、いうわけだ。

学校で、出席確認が始まるのが、8時15分だから、

6時45分には、家を出ないといけない。だから、

6時に起きて、ゆっくり準備する予定だったのだが……葵が、葵が全然起きないのだ‼︎

俺が、

「葵、起きろ‼︎もう6時だぞ‼︎」

というと

「えへへ〜、ゆうくんかっこい〜。」

と言い、俺が

「葵さん。そろそろ起きてくれませんかね?」

というと

「えへへ〜、ゆうくんかわい〜」

と言い……。

全く、全く起きる気配がないのだ。

……ていうかその、『えへへ〜』ってやつ、

やめてくれませんかね⁉︎そろそろ、僕の視床下部が

任務を放棄しちゃって、声じゃなくて手が出ちゃいますよ⁉︎

……もう、こうなったら‼︎


「葵〜。別にまだ、起きなくてもいいけど、早く

起きないと。葵と一緒に手を繋いで学校に行くって約束、反故にしちゃうよ?」


どうだ葵‼︎さすがにこれは起きるだろ‼︎

……あれ?まさかこれも、効果なし?

う〜ん……。一体どうすればいいんだろう?

まあ、とりあえず念じてみるか。

『困った時の神頼み』

っていうし。

(おきろ〜。葵、おきろ〜‼︎)

俺がそう念じると、葵が飛び起き、


ゴツン


俺の頭と葵の頭がぶつかり、そんな音を立てた。

……すごく痛い。なに?葵の頭って、鋼かなんかで出来てるの?って、思うほど痛い。

『……鋼で出来た頭って、なんかこう、すっごく強そうだな〜。』

頭を打ったせいで、思考のレベルが幼稚園児並みになってしまった俺。

結局、思考のレベルが幼稚園児並みになってしまった俺のせいで、準備が遅れ、今日も、自転車で登校することになった俺たちであった。

……一体、いつになったら手を繋いで学校に、登校できるのかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る