第12話 可哀想な?葵さん

「だってだってだって、あれは仕方ないじゃんよ〜‼︎」


下校中、葵さんは大変お怒りのようだった。


「いや、でもなあ、二次関数の最小値とか、

最大値とかの話を先生がしてたじゃん⁉︎

その練習として、因数分解の問題を解くって……

普通に考えて、ありえないでしょ⁉︎」


100歩……いや、10000歩譲って、平方完成の授業の時に、間違って因数分解の練習と問題を解いちゃうのは、ギリギリ理解できる。でも、葵の場合は、

二次関数の最小値、最大値の話の時だよ⁉︎普通に

考えて、因数分解の練習問題なんて、解くわけないじゃん⁉︎


「も〜、ゆうくんの意地悪〜。」


……いつの間にか、中島くん呼びから、ゆうくん呼びに戻ってるし。


「それに、私はバカなんだから仕方ないじゃん⁉︎」


……それ、自分で言っちゃうんだ。なんか葵が、

可哀想に見えてきた。


「葵、今日から俺が、つきっきりで葵の勉強見てやるよ‼︎」


葵を助けたいという気持ち9割、葵にいいとこを

みせたいという気持ち1割の俺と、やる気満々の葵の勉強会が、この日から、(ほとんど)毎日開催

されるのだった。

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