第11話 今日も今日とて、うちの可愛い幼馴染は、計算問題を間違える。

「この問題、わかる人〜?」


数学教師の田辺が、1年2組の生徒全員に向かって、

そう言った。……学校の授業中に、生徒と先生が、

一対一で話すことなんてないから、『1年2組の生徒全員に』っていうのは、言わなくてもいいかな?


そんなことを考えていると、

『神様から、可愛い以外のステータスを、もらい忘れた女』こと、神崎葵が手を挙げた。


……本当に、この問題わかるの?俺は、全然わからなかったよ⁉︎

……ていうか、このクラスで、手を挙げてるの、

葵1人じゃん⁉︎このクラスで唯一、葵だけがこの問題を解けたの⁉︎すごいじゃん‼︎これはテレビ番組の

ニュースで、

【速報】可愛いだけだと思われていた神崎葵さん。

    なんと、勉強もできることが判明

って、流れるレベルの話だよ⁉︎

ノーベル賞=この話

っていうレベルのことだよ⁉︎

……まさか、生きているうちに、ノーベル賞受賞

くらい、すごいことが起きた現場に居合わせることができるなんて。

そんなことを考えていると、田辺先生は、葵に対して、


「それでは神崎さん。黒板に、途中式と、答えを書いてください。」


と言った。

すると……


「すみません。やる場所を間違えていました。間違って、15ページ前の問題を解いていました。」 


と、葵が言い出した。

……15ページ、前の内容ってなんだ?

そう思った俺は、15ページまえの問題を、確認した。

そこに書いてあった内容は?というと、

『この式を、因数分解しなさい。』

とかいう、中三レベルの内容の問題だった。

【悲報】神崎葵さん。やはり、可愛さ以外を、

    神様に与えられていなかったことが判明‼︎

……現実って、非情だね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る