ザ・バイクライダーズ

 アメリカならでは・・・・なバイク事情。日本的には暴走族を想像すれば近い気もしますが、それでもやはりアメリカは遠い……。


『THE BIKERIDERS』を観ました。

 舞台はアメリカのシカゴ。某女バウンティハンターが活躍している辺りでしょうか。

 最初に断っておきますが、私はこの映画のバイク車種について掘り下げが出来ません。言えることとしては、なんかローグラインド(意味も知らない単語)のハーレーが沢山出てくるかと。


 1965年から1970年後半にかけて実在した『アウトローモーターサイクルクラブ』の軌跡を描いた(出版された本を元にして脚色された)映画です。私当初『ヘルズエンジェルス』がモデルの映画だと勘違いしていました。

 日本の暴走族の全盛期は知りませんが、アメリカでは『1%erワンパーセンター』という造語が作られるほどにバイクイコール犯罪者という印象のある時代でした。バイク愛好家が「ゆうて深刻な犯罪者ってバイカーの内の1%なんやで」と印象を改めて欲しいという願いから生まれた言葉。

 それを皮肉って「俺らはその1%側」という刺繍パッチを付けてる人達は本当にヤバい人。ドラッグなんか当たり前で、場合に寄らなくても殺人もいとわない人達。犯罪に対するベースラインからして日本の基準と違います。とは言え、数万円の為に気軽に闇バイトをしたり、名前が女みたいと言われただけで殴り掛かるZ世代なんかを見てると、近年の日本は既にアメリカに近い治安なのかも知れません。


 大筋として、バイクを愛してやまない社会からは疎まれがちな男達の拠り所として作られたモーターサイクルクラブが、時代と共に組織規模が大きくなっていき少しずつ本来求めていた姿から外れていく、そんな流れの中で葛藤する者や離れていく者、すがり続ける者、我が道を行く者、そんな人間模様が近しい第三者の視点から語られていきます。


 映画としてバイク業界以外ではさほど話題にならなかったのが不思議なぐらいしっかりとストーリーがあり、しかも登場人物のキャラがそれぞれ活きている芯のある映画でした。派手なアクションこそありませんが、歳を取っていく中でのバイクとの付き合い方や、台頭してくる若い世代のバイク感など、バイクとの付き合い方を考えさせられる要素が随所に散りばめられています。

 ダブルライダースにデニムベストや革ベスト、看板カラーズの付け方もまちまち。それぞれに個性的なバイクファッションも見所のひとつです。


 ラストシーンについては賛否両論あるかなと思います。

 私にとってはちょっと微妙な終わり方でした。それでも観る人それぞれの考え方、受け取り方によって感想は変わってくると思います。

 私自身、数年後に観直すとまた違った感情を抱く筈です。時間をおいてまた観直したくなる、そんな映画です。

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