750ライダー2(Vシネマ)

 バイク漫画として初期のバイブルともいえる作品(あくまでも私の見解)の満を持しての実写化。初期という言い回しを使わせてもらったのは「あいつとララバイ」「バリバリ伝説」「ふたり鷹」の三作品が現ミドルエッジに最も影響を与えた作品かなと思うからです。公道バトルのララバイ、GPレースのバリ伝、耐久レースのふたり鷹といった所ではありますが「研二くん仕様のZ2」や「グンちゃん仕様のCBとグンヘル」のように「バトルホーク」が爪痕を残せていないのは残念ですが。公道で走れないレーサーというだけじゃなく、更に試験的な車体の特殊な車輛ですし、しょうがないと言えばしょうがないかもです。乗っているバイクがコロコロ変わったりヘルメットグラフィックも安定していないという部分、寧ろリアルなバイクライフなんですけどね……。


 話がグラベルまでオーバーランしてしまいましたが、750ライダー。流石に2作目ともなると演技や台詞にも慣れてきてすんなりと視聴できます。

 今回はストーリー全体がラブコメ要素に振り切っていて、バイク熱部分は主にメンテナンスというかマシンとの対話といった付き合い方として挿入されています。しかしまぁ全体量としてはほんの少し。あとは随所に散りばめられたCBのアップシーン。まるでイメージビデオの様です。


 冒頭でも触れましたが主人公の早川光が乗っているCB750もやはりフルノーマルで、ナナハンというその言葉だけで既にひとつのステータスとなり得た当時ではさらに上乗せで個性を主張する必要はなかったのでしょう。それでも実写化の際に主人公がオリジナルデザインのヘルメットを被っているのはファンの方には有難かったのでは無いでしょうか。ダークスモークシールドもバイクスタントシーンの撮影の点からみても良かったかと。

 そもそも原作では常時ノーヘルでしたが、やはり実写化の際にはそうも行かなかったというのもあるでしょう。劇中にもヘルメットや二人乗りに関する姿勢などは、オートバイに真面目に向き合っている姿として、ある種のスパイスとして追加されています。

 そしてそのスパイスも、2作目ともなるとまるで二日目のカレーのように渾然一体となり、隠し味としてすらわからなくなっている点も良いです。

 シナリオをラブコメ多めに振っているおかげで、1作目の様なバッドフラグの数も減り、二人の恋の行方を安心して観ていられる、そんな作品です。


 最後にひとつの学びとして。

 バイク乗りに一生に一度、不意に訪れるかどうかという女の子をタンデムする機会には、夜クラの花音ちゃんのように、せめて半キャップぐらいはその場で錬成出来なきゃダメなんだなぁと。

 それが女の子にモテる為のライダーのスキルでしょう。

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