爆発!750cc族

 岩城滉一さん主演『爆発!750cc族』

 今回、途中からネタバレを含みます。すいません。内容に触れないと中身が何も……エフン、エフン。


 暴走族をテーマにしていると言っても、どちらかというとスピードやスリルを愛してバイクや車を走らせる街頭レーサーといった方が良いかも知れません。……暴走族との違いは正直よくかりません。少年漫画で出てくるような喧嘩自慢や伝説の頭が出てこないのは確かです。

 アクション映画が殺陣や迫力ある映像で魅せる部分をバイクや車を使ったリアルなカースタントで演出している、そのシーンを楽しむ為の映画です。

 主人公の生き方や哲学なんかが前面に押し出されることはないので頭を使わずに観ることができますが、若者が社会に対して感じている憤りなんかは表現したかったのかもとも思います。だらだらとしたロードムービーではありませんが目的を持って走り続けるアクションロードムービーといった所でしょうか。ただし旅で出会う人との触れあいなんかはありません。ただひたすらに走る走る。

 と言うわけで以降ネタバレを含む紹介です。


 冒頭、東映の波間をバックにポップな音楽からスタートしますが、油断させといての暴走シーンです。実際に走ってますよねコレ? 全てのシーンで昔は撮影に大らかな世の中だった事が伺えます。

 全編通して常にカーアクションが見所なのですが、まずは白バイとのチェイス!

 野口賢先生が『BE TAKUTO!!〜野蛮なれ〜』で挟まれていたバイクのキーを抜くという小ネタで白バイを撒きます。この後のタイトルコールやスタッフロールの書体もエモくて見所ッス。

 厳重な検問に引っ掛かり前後挟み撃ち、あわや全員逮捕の危機!

 そこでリーダーの一言「構わねえからぶっちぎれ!」ですょ。

 「ガンガン行こうぜ」とか「ピカチュウ10万ボルト」くらいの雑な指示。

 結局全員タイーホで解散、ここまでがなんと冒頭。

 そしていきなり一年後。ここからやっと話の本筋です。


 岩城滉一さんと言えばの黒いZ2のイメージですが、暴走シーンは冒頭以降ありません。ここからは中盤まで車がメインです。その車がイカす! 屋根をぶった切りオリジナルペイントが施されたセリカ1600GT!

 リーダー、指示も雑ならガス切断も雑です。上半身裸レイバンで溶接、ツッパリみたいでカッコいいです。

 セリカ疾走時に流れる劇中歌に痺れます。マイラストスピン。


 金持ちボンボンの暴走族と岩城滉一の舎弟二人との争いが引き金になってやったりやられたりの展開から中盤以降の暴走シーンに続きます。途中、舎弟はリンチされ幼馴染みでリーダーに片思いしてる全く関係の薄い女の子が強姦されたりしますが、リーダーは街頭エンデューロレース中なので助けには行けません。最後開放されて歩いている二人の横にセリカを横付けしてリーダーの一言「元気ィ出せよ」です。

 そしてこの後延々とリーダーの爆走シーンで、もうそのままラストまで走りきるのです。


 リアルな暴走族が見られる映画です。

 最近の映画は流石にリアルになりました。アマゾンプライムオリジナルの『湘南純愛組』なんかちゃんと片持ちのCBX出てきますし。90年代のドラマで出てくる暴走族なんてレーサーレプリカ乗ってましたからね。

 こんな雰囲気で『鍍乱綺羅威挫婀』とか映像化されると嬉しい限りです。

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