オン・ザ・ロード

「俺はわかりかけてきたんだ。邪魔しないでくれ」

 バイク乗りは走り続ければ答えに辿り着けるだろうか?


 渡辺裕之さん主演『オン・ザ・ロード』を観ました。

 白バイ仕様のCB550FourやKiwiのジェッペル等、古い映画なので登場する全ての乗り物や全ての小物がエモいです。アメ車の悪者感や警視庁の隠蔽体質など、当時はイメージを自由に映像化出来たのだなという感動もあります。


 ざっくりとしたあらすじですが、主人公は白バイ隊員。違反車輛の追尾中にちょっと引っ掛けちゃったスクーターの女性が、実は怪我が原因で仕事を辞めて実家の沖縄に何故か陸路で帰る事(途中明らかにされます)を勤務中に知った彼は衝動的に追いかけてしまいます。その道中で起こる様々な出来事を通じ次第に深まる理解。しかしその理解の矛先は、女性側は男性に対するものだけど、男性側は体裁や職務に対するやりきれぬ思いと走る行為への悟りだったりします。


 この映画、見所が沢山あります。

 道路脇にいるところを保護されてしまったばかりに他県まで連れていかれ、その行為も「案外いいとこあるのね」という一言感想で片付ける女性陣。そして挙句の果てには沖縄まで連れて行かれてしまうイッヌ。

 何の前触れも脈絡も無く急にやってくる濡れ場。帰省中に突然追ってくる白バイの登場なんかよりも唐突です。お子様と観る時は要注意です。

 感動に値する白バイの走破性と頑丈さ。定期的にトライアル(イーハトーブかな?)練習している描写があり、後半の白バイの運転技術披露シーンへの伏線となっています。

 そしてやはりロードムービーの最後は海ですね。個人的には『爆発!750cc族』のラストシーンも海で、この映画にも共通する魂を感じました。

 全体的に「そんな訳ないやろ」と突っ込みたくなる部分がほとんどですが、マスコミや警察の体質などは良く描かれていると思います。

 あと、ジャパニーズバイクムービーには欠かせない『狂い咲きサンダーロード』の山田辰夫さんもチョイ役で出てきて良いところを持っていきます。またレザースーツがKADOYA製で歴史を感じました。


 今、現代を舞台にリメイクすると面白いのでは? という気がしました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る