第10話 独歩
重点育成指定生物だけに進化も早い。脳の容量も大きくなった。
なのに、森を追い出された。
草原に住む気らしい。
なんでー?
こいつら、何やったんだ。
あーあ。
もとから草原に住んでた奴らの餌だよ、これ。
あれ?なんか直立したぞ。あ、木に登れないので視点を高くして周囲を警戒するのか。
あれ?立ったせいで、前足があいて常時道具を持てるようになったぞ。
あれ?常時道具を持てるようになったせいで、道具の工作が精密になっていったぞ。
あれ?道具の工作が精密になったせいで、強い動物を狩ることができるようになったぞ。
おまえら。
あ、草原近くの洞窟に定住を始めた。森も川も近い。おまえらかしこいぞ。
なんか、鳴き声じゃなくて、もっと複雑な音声を発してる。これ、きっと喋ってるんだ。
翻訳かけてみよっと。
道具の作り方を指示してるみたいだ。別の会話のグループは肉を切り分けながらおしゃべりしてる。
あれー?早すぎない?
あ、体の毛、自前と思ったら毛皮着てるぞこいつら。
「重点育成指定生物が知性発展を加速しました。この時点以降直接の接触に制限が発生します。」
これ、どういうことかというと、おれがこいつらの前に登場することは出来るけども直接こいつらのリーダーになったり、俺が研究者のコスプレしてオーパーツ作っちゃダメってこと。
何やってるか理解できない奴らの前に現れてリーダーしても影響はないけど、理解できる知性を持った段階になってそれやったら、こいつらの知性じゃなくて、俺たちの知性で発展することになっちゃうからね。
出来るのは、コマンドポイント消費してこいつらのリーダーの前に現れて助言したり、ヤバい奴を除去したり、といったギリ第三者的なことだけ。
で、せっかくなんで、見に行きます。タイムスケールスライダー最低にして、ゴー!
一族みんなひれ伏しやがった。
なんか声を掛けてきた。
「神よ。」
だって。
あー。もうそんな概念を使えるところまで来ちゃってたのね。
スライダー操作遅くなって、なんかいろいろ見逃しちゃったのね。
これ、なんかいいこと言わないと、まずい流れだよね。
なので、言いました。
「仲間殺しちゃダメ。盗んでもダメ。ええと、あと、余ったら人にあげましょう。足らないときは助けを求めましょう。」
これくらい?
ギリセーフ?
で、消えました。
俺はお前達をこれからも見守るぞ。
とも言っておきました。
やれやれ。
俺は多分奴に勝った。メッセージ送っとこ。
人、それを神と呼ぶ。マジでか? @aqualord
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