(4)俺の魔力は弱すぎるらしい
翌日の朝を迎える。時計がない……っあ。
「そう言やスマホがあった!」
急いで取り出してみる、県外か……だろうな。
「時計は……朝の6時12分?」
マジか、どうやら時計としては使えるらしい、これだけでも助かるな。
「ヒラ!起きた?」
「ああっ起きたよ、魔獣とやらは来たのか?」
「来たらヒラ死んでる、弱すぎる魔力のお陰で気配すら追ってくるヤツもいない。ラッキー」
「ラッキーだけどヘコむは、それとヒラで通すつもりか?」
「つもり!」
「ヘコむわ~~~」
まあもう慣れたからいいけどな、リュックサックをプスの収納魔法で収納してもらう。
一応装備としてフライパンを装備する、気休めだ。
一応飲み水としてペットボトルを1つもって歩く、中身は水な。コーヒーとかインスタント食品食べる時って基本水がいるから飲み物は水しか持って来てなかったんだ。
それがプラスかマイナスかは知らん。
「けど調理器具がフライパンとメスティン位しかないのは困るよな~~」
リュックサック、もう一つ大きめのバッグも持ち込みたかった、シュラフが入ってるヤツを。
「ハァッないものねだりは無駄の極みか!それじゃあ行こうかプス!」
「おおーーーっ!」
そして森を進む、これだけ長い時間を歩いていると自然と周りの風景にも視線が向かう。
木の1本1本がどいつもこいつもデカイ、岩とかもゴロゴロしていて歩きにくい。
けど身を隠せる事を考えるとこれも仕方ないよな、ただ……ウチのプスが魔力で魔獣とか人間の存在が分かるって事は魔獣とかも普通に……俺はその辺の事は考える事はやめた。
この森は深い、ジャングルとかって感じはしないけど森林と言うよりも樹海って感じだ、これだけ緑が豊かだと大きな川とかもありそうだな。
水の節約とかも考えるべきか?いやっ人間が住む大きな街があるらしいし、何とかなるだろう。
なによりプスが散々ヤバいと言う魔獣なんてのがいる森なんてさっさと脱出したい。
そして更に歩いて行く、途中何度も休んでいるが足がそろそろ限界が近い。
「………なぁプス、まだ遠いのか?」
「………………」
「プス?どうした?」
「…………見えた」
え?今なんと?。
「見えたぞヒラ!アレが人間が住む大きな街だ!」
プスの言葉に俺はダッシュした。
走る、走る、走る、走る!。森の木々を縫うように走る、少し坂になってるがそんな事知るか。
「ハァッハァッハァッ!」
坂を登り切るとそこから先は森ではなくなった。
どうやら無事に森を脱出出来たらしい、しかし今の三十路はそれよりも目の前の街に視線が釘付けだった。
「スッゴ!メチャクチャでかい街じゃねぇか!」
森を抜けた先は広い平原だった、その平原の向こうに周りを城壁のような高い壁に覆われた街があった。
まさにゲームに出て来る様な城塞都市と言うヤツじゃないか?城塞よりも高い建物の屋根がチラチラと見える、色は赤とか青色の屋根が多いな。
「凄いな……普通に入れる門なのか?入るのに金とか証明書とかいったりしない?」
「プスも人間の街は始めて、よく分からない」
そりゃそうか、ずっと森の中でコロコロしてたんだもんなコイツも……。
「まっこんな時は出たとこ勝負だ!行こうかプス」
「行く!いざとなったらプスの魔法が火を噴くぜ?」
歩きながら向こうの世界の話をしたんだが、変な言葉を教えすぎたか……。
まっそれも今更だな。
「オイオイ街中で魔法は御法度なんて事もあるぞ?プスは頼りになるからな、捕まったりしたら大変だからな危ない事はすんなよ?」
「む~~~分かった、プス自重する……」
そして街に向かう俺達である。
この大きな街の出入り口となるのは、異世界ラノベのお約束通り大きな門であった。
遠目からでも直ぐに分かったのでそこに向かう。
門番的な兵士がいるのかと思ったら誰もいなかったので普通に中に入れた。
警備がざる過ぎないか?。
「何で門番とかもいないんだ?」
「人間集まる、するととても大きな魔力があると勘違いしてバカな魔獣とかは近付かなくなる」
「成る程それでか……」
「それに街の近くの魔獣や魔物は人間が進んで倒す、だから危険だと判断した魔獣や魔物は森や山に逃げる」
おうっ人間も中々やるね、こんなファンタジーな世界なら人間なんて食物連鎖じゃ中の下くらいだと思ってたわ。
「まあいいか、入れるならさっさと入ろう」
そして俺達は異世界初めての街に入るのだった。
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