(2)魔法がある世界に来ていた
「…………ハァッ取りあえず行くとするか、それで?どっちに向かえばいいんだ?」
俺はリュックサックを背負いながらこれから進む道を尋ねた。
「ん?その荷物重くないか?」
「そりゃ重いよ、結構中には食料とか飲み物入ってるし」
しかしこうなってみると、よく俺がこのリュックサックを背負ってるタイミングで異世界転移なんてレアイベントがおきたもんだ。
もしも何も持ってないタイミングでこっちに来てたら……考えるだけでもゾッとするね。運はまだ俺を見放していないってか?。
「………そうか、重いのならプスが何とか出来るぞ?」
「え?何とかって……」
「プスは収納魔法が使える、別の空間に重いものを隠しておけるぞ」
「…………魔法!?マジでか!?」
収納魔法ってそれゲームのインベントリとかアイテムボックスじゃん!。
俺は魔法が見れるかも知れないと言う事に興奮した、早速プスに使ってもらうように頼む。
「プス頼む、その魔法ってのを見せてくれ!」
ゲームやマンガを嗜む俺は魔法を見てみたい。
「うん?分かった、そのリュックサックを下ろす」
俺は言われた通りリュックサックを下ろした。
「…………ムムッ!」
プスが気合いを入れるような声を上げた、ってこれテレパシーだから俺にしか聞こえないのか?。
いやっ今はそれよりも魔法だ……プスの魔法が発動すると俺のリュックサックが突然消えた!。
「きっ消えた、本当に魔法なのか?」
「もちろん本当、プスの意思1つで当然取り出せるぞ?」
「おおっ!また現れた!本当に自由自在なんだな」
「プスも下級だけど精霊。魔法の扱いは人間には負けない」
全く頼もしい石ころである、プスにリュックサックを収納してもらったので身軽なまま森を進めるな。
「それじゃあ何処に向かうのか教えてくれ」
「右に進む、森を向けた先に人間の街が見える、大きな街だから近くに行けば直ぐ分かる」
「オッケーだ、なら行くぜ?……ちなみになんだが、危険の魔獣とかが近付いて来たら分かったりする能力とかある?」
「魔力を感知するからある程度なら分かる、けど問題ない」
問題ない?何でだ?。
「魔獣も人間の魔力を感知して探す、けどヒラの魔力は本当にそこら辺の虫並に小さいから気にも止めないと思う」
「メチャクチャ失礼な事言ってきたなこの石ころ野郎!?」
俺はキレた、流石に虫並の魔力ってのはあんまりじゃ……え?。
「魔力、あるの?俺に?」
「ん?あるに決まっている。この世界に存在する生き物は全て身体の中に魔石を持っている、つまり魔力も持っている」
なるほど、分からん。この世界の人間じゃないのにこの世界の常識をとかを話されても困る。
「………じゃあこの魔力とか魔石の事とか歩きながら聞いてもいいか?」
「分かった。プスが知ってる事を話す」
ありがたいね。そう言う情報って人間相手だと金を要求してくるヤツとかいるかもだしな。
何より自分は物を知りませ~んなんて自分から言う様な真似はこの世界の文明レベルも生活してる人間のいわゆる民度も知らない状態では危険だからな。
三十過ぎると疑い深くなって嫌だね、まだ会ったこともない人間相手にさ……。
まっ死ぬよりはマシだろうって考えるか。
俺と石ころはトコトコと歩きながら道なき道を進んで行った。
◇◇◇魔の森・道なき道◇◇◇
平山は森を移動しながら石の精プスから魔石や魔力について説明を受けた。
ただ平山には礼の魔獣とやらがいつ目の前に現れるのかと警戒して回りをキョロキョロする事や慣れない森の道を歩く事の方が目下の問題だったりする。
(キャンプの為のブーツをはいといて良かった~~ってか舗装されてない道ってここまで歩きにくいんだな……)
所詮平山はキャンプ初心者である、自然の道を歩く事には慣れていない、しかし自分が必要な時に休憩を取れるので無理をする事はなかった。
魔獣がいるという情報があるお陰で体力が回復すると直ぐに出発した。恐怖が平山の歩を進めた。
そして話は戻り魔石のことである。
魔石とはこの世界の生物の体内に生成される、それは魔力を保持し、魔力を操る体内機関だと言われている。
これを持っているからこの世界の生き物は魔法を扱う事が出来るのだ、もちろん石の精であるプスも魔石を持っているから収納魔法を使える。
しかし平山は………。
「つまり魔力を持っているのならヒラの中にも魔石がある、ないなら魔力を持てる訳がない」
「………そっそうなのか~~~」
(え?俺の中にそんな石ころが?異世界転移したからそのタイミングで………チートを!?)
「なあプス!この世界にスキルとかアビリティとかってあるのか?」
「スキル?アビリティ?聞いたことない」
この世界にスキルもアビリティもない、そして平山にチートは………………ない。
平山は日本から本当に理由も何もなく突然異世界転移してきただけの男だ、その体内に魔石なんて物は存在しないのである。
つまり………魔法なんて一切使えないのだ。
平山がその事を知るのはもう少し後の話である。
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