異世界に来たのに魔法が使えない!?

どらいあい

普通のおっさんには異世界は厳しい編

プロローグ『異世界転移』

(1)喋る石ころと出会った

「……ん?こっここは?どごだ?」

俺は仰向けに倒れていた、なんで?。

回りを見る、するとさっきまでいたキャンプ場ではなかった。


森なのは森なのだが……何だあのキノコ?人が座れるくらい大きくてピンク色のカサをしている。

他にもそこら辺に見たこともないキノコと青色の植物とかも生えていた。


森なので木が普通に生えてもいるのだが、明らかにさっきまでいた山の中じゃないぞこれ……。


「回りを見ても他の人の姿もない……」


ついさっきまでは親子連れの姿とか普通あった、独り身ソロでキャンプに来てる俺はそんな家族連れを遠くに眺めては俺も彼女作ったらとか妄想していたのである。


「……嘘だろ?設置したテントがない」

しかしリュックサックはあった、中を見る。

中身は無事だ食料と飲み物、インスタント食品の類も多少はあるな。


「いや、水や食料の心配とかなんでしてんだよ俺は?これじゃまるで遭難したヤツの思考じゃないかよ…」


けど…………いやっまだだ、これは夢の可能性だってゼロじゃない筈だ。

いや夢の話してる時点で色々と終わってるーー!。


「うわぁどうすんだよコレッ……神隠しか?今風に言うなら異世界転移でもしたのか?全部ドッキリとかじゃないのかよ!?」


「ドッキリって何だ?さっきからギャアギャアとうるさい人間」

「!?」


俺は咄嗟に声の聞こえた方を見た。

誰もいない?じゃあ今の声は一体?。

「どこ見てる?、下だ下」

「下って………え?」


声に従って下を見る、そこには草が生えてるだけで後は石ころが1つあるだけで……。

「……?、なんだこの石、白い模様が描かれているな?」


「これは精霊が宿っているから刻まれた紋様だ、この世界では精霊紋せいれいもんと呼ばれお前達人間は珍しがるもの」


「……………マジか」

喋った、石が、口なんてないのに……何でだ!?。

「フッフッフッ面白い顔をしてる、精霊と会ったことがないのか?これはテレパシーだ、そして…」


「ちょちょっと待ってくれ、え?精霊?これなんかのドッキリじゃねぇの?」

「お前はいきなり倒れてた状態で現れた、プスが見るにアレは転移じゃないかと予想する」


「てっ転移?オイオイそれじゃあマジで異世界転移でもしたって言いたいのか?」

んなバカな、あんなの全部フィクションだろ?だってそう書いてあるじゃんよ!本の隅っこにさ!。


「お前の魔力、確かにこの世界の人間とはどことなく違う。本当に別の世界から来た?」

「嫌そんなん聞かれても……けど俺の世界の常識じゃ喋る石なんて聞いたことないしな……」


「石の精を知らない?精霊はこの世界のいたる所にいる。これ人間の常識、常識ないお前、この世界の人間違う?」


喋る石ころを知らないからって異世界人扱いすんなよ、けど否定できる要素が……。

「う~~ん………多分、違うんだろうな。だって俺さっきまでこことは全然違う場所にいたのにいつの間にかこんな所にいるんだぜ?」


「お前何もない所から突然出て来た!異世界から来た人間確定?」

「………………」


まっいいや、この際異世界何とかって事は、それより気になるのはこの喋る石ころは何が目的で話し掛けてきたのかだ。


「なぁ石の精さんよ、アンタは何で俺に話し掛けて来たんだ?何か目的でもあるのか?」

「目的?ない、けどお前は何か面白そうだと思った。だから話し掛けた、うるさいと思ったのも本当……」


「え?ここってうるさくしたらやばかったりする?」

異世界って言われて真っ先に怖い想像をしてしまった俺だ。


「ヤバイ、この魔の森魔獣多い、襲われたらお前間違いなく丸かじり」

「丸かじり!?」

なんてこった、やっぱり精霊とかいるなら剣と魔法的な世界なのか?。


それだと魔獣、要はモンスターとかもモリモリいるとしても納得出来る………か?。

「ちなみに魔獣ってどんなの?」

「色んなヤツがいるから説明無理、けど人間を食べるヤツなら……」


ドキドキ、せめて少なめでお願いしま─


「この森の殆どの魔獣がそう、だから何時までもこんな所でボ~~っとしてるお前。明らかにおかしいヤツだと思った」

「……………………そうかよーーーーー!」


そんなんなら何時までもここにいるのは危ない、この石ころの話が本当ならこの世界にも人間はいる!ならそこに向かうしかない。

何故なら俺みたいな三十路野郎が魔獣とかに襲われたら本当に丸かじりされて終わるからだ。


「石の精さんよ、俺は死にたくない。だから人間がいる町まで行きたいんだ、頼むから道案内を頼めないか?お礼がいるならこのリュックサックの中から………」


「お礼ならプスをお前の旅に連れてけ、何時までもここに転がっているのも飽きた。プスはもっと色んな世界を見たい」


世界を見たいか……俺も生活の基盤とか身の安全とかを何とかしたらこのファンタジーな異世界を見て回りたいな。

俺の頭の中は既に異世界転移を受け入れた感じ。


「分かった!なら一緒に行こう、所でそのプスって何だ?」

「プスはプス、プスーキーの名前を呼びやすくしたもの」

「プスーキー、それがアンタの名前か!俺は平山……平山大地ひらやまだいちだ、よろしく」


「………よろしくヒラ!」

「いやっヒラは辞めてくれよ~~~~!」


平社員とか万年ヒラって言葉が俺は大嫌いなんだよ!。事実だけどさ!。







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