ただそれだけのこと
身体が大人になり心が大人に近づき、子供というレッテルが古ぼけて、かさぶたのように
少しも特別なことではない。
人生のただの通過儀礼の内の一つ。
それは人格の入れ替わり。
おおよそ中学三年生から高校二年生の間に、人間には新しい人格が芽生える。
一人の人間の中に二人の人格が同居する。
混在期間は一年から一年半。
その年月を経て、古い人格は薄まり意志を失い、最期には消失する。
これが人間の一度目の死。
新しい人格は肉体を引き継ぎ、いつまで続くかは定かでない二度目の死が訪れるその日まで、生を全うする。
それは当たり前で誰もが経験して、二つが混ざった心の池は
古い一つは暗い水底に沈み、新しい一つが水面で息を揺らす。
その交代の時が、私たちに訪れた。
ただ、
ただ、それだけのこと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます