R602年7月31日

 曇り。なんという美しい遺跡だろう! もちろん噂には聞いていたし、200年前のラシャーン(Lašān)の記述からもその素晴らしさは伝わってくるが、やはり自分の目で見なければ分からないことも多々あるということを実感した。


 まず我々は(眠りについたまま起きようとしないタッティを除いて)遺跡の周りを一周し、保存状態や崩れ具合を確認した。全体としては割合典型的なコスン・パルンドゥルン(K'osin Palindilin)様式で、正面の入口から一本道でじかに本殿へとつながっている。左右の翼は原型はおぼろげにとどめているが、特に左の翼は損傷が激しく、すぐに調査するのは難しいかもしれない。


 午後、我々は崖の上の地面が安定していそうなところにキャンプを立てた。ギャースィは崖が崩れるのを心配したが、私は崖の下は川の増水にやられると考えた。夕飯は代わり映えのしない干し肉と芋のスープだったが、遺跡に来られた感動でいつもよりよほどおいしく感じた。

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