第2話

きっかけなんて特にない。

たまたま観たCMのように俺はバーチャルの存在を知ったのだ。

画面の中にいるキャラクター達はまるでそこに居るかのようでより一層、その存在に惹かれていった。

キャラだって皆一人一人違っている。

バーチャルだって人間だ。

泣いたり笑ったりと喜怒哀楽を画面の向こうの人達に伝えてくれる。

その顔に癒されたりして俺らは頑張って生きてこれたんだ。

だから、バーチャルが俺らのコメントで傷ついた時には、俺も凄く悲しかったし俺以外の奴やそのコメントを書いた奴も罪悪感を植え付けていた。

推しが泣くのは本当に心が抉られたように痛い。

そうだ、これを例えるなら好きな人の泣き顔をみた時の様なんだ。

無論、他のバーチャルだってグッとくる事がある。

だが、自分が推している人が哀しくなるのは誰も見たくはないだろう。

なんたって、目の前に居てただの画面に映ってるアニメやドラマではなく自分のコメント一つでその人の喜怒哀楽が変わるのだから。その人の感情を動かすことが出来るからだ。

そんな時は、画面から目が離せなくなる。

その状況の中で、必死に慰めて何度も自分の気持ちをたったの少ない文字で伝えるのはとても大変だった。

俺のコメントで励まされた訳ではないだろうけど泣き止んでくれた時、俺もほっとしてしまう。

さて、俺とバーチャルとの出会いはここまでにして、何で推しが泣いていたのかが気になってきた頃だろう。

上記でも少し説明した通り、あるコメントがきっかけだった。

人は誰だって一言、二言言われたくない言葉があるだろう。

その一言、二言だけで泣くなんてダサすぎるとか思ってるんじゃないか?

いや、ダサくない、辛うじて俺はかっこいいと思ってる。

ーENDー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る