第101話 アレの話し
意識を失った時の事を、洗いざらい吐きました。
それを話さなければ、指輪の事もベッドの事も説明が出来ないので。
ええ、勿論例の件も話しましたとも。
だって、「他に隠してる事は無いの!?」と言う全員の顔が怖んだもん。
既に、尻に敷かれている拓哉です。
結局、子宝精力剤の事も全て吐かされた俺は、正座で彼女達に囲まれてます。
もう、居心地がMAXに悪いです。
しかも、今日から全員俺の部屋に引っ越してくるらしいから、尚の事居心地が悪い。
俺のプライベートは何処へ消えた!
正座している俺をそっちのけで、誰が一番かなどと話している。
俺に権限は無いらしい。そもそも何が一番なのか・・・。
恐ろしくて、足がガクブルだぜ。
え?正座してるから痺れてるんじゃないかって?
そう思ったそこの君!
・・・
・・・
・・・
正解だ!
既に、足の感覚が無い。
ただ、誰も俺の事に気付いては無いらしく、リビングのソファーに座り「あーでもない」「こーでもない」と話している。
「あ、あのぉ・・・そろそろ足を崩しても「「「「ダメに決まってるでしょ!」」」」」・・・ハイ。」
これだよ。
チクショー!
その後30分程で、俺の
足が痺れて当分動けなかったが。
そして差し出される九人の手。
「何か?」
「何かじゃ無いでしょ?出して。」
What?
「何を?」
「アレよ、アレ。」
「アレ?」
俺は首を傾げる。アレって何だ?
「もう一つ貰った物があるでしょ!それを出してって言ってるの!」
ああ、アレか。
足の痺れでいっぱいいっぱいな俺は、既にそのモノの事自体を忘れていた。
ストレージを開け例のブツを取り出すと、それを春香に手渡す。
「こ、これが・・・。」
春香はブツを一人一本ずつ渡すと、マジマジと眺める。
「なんか説明によると、半分は自分で飲んで、半分は相手に飲ませるんだってよ。」
俺の説明を真剣な表情で聞く9人。
しかし、次の一言で現地人以外の5人が驚く。
「材料は、オークキングの睾丸の粉末らしいけど。」
「「「「「マジで!?」」」」」
目を見開き驚く5人とは対照的に、「そうだろ、そうだろ」と頷く4人。
「こっちの人って、子供を授かるのにオークの睾丸を使うのか?」
俺は疑問に思った事を聞いてみた。
すると、ロラさんが答える。
「ああ、特に貴族や大商会の会頭なんかが使うな。確実に嫡子を産まないと、お家が潰れてしまうからな。特に王族なんかだと、そこら辺が顕著に現れるな。」
「そうなんだ。」
何となく納得出来た。
「ええ、ですから、オークの睾丸は結構な高値で買い取られます。それが、キングともなれば白金貨数枚に跳ね上がりますし、薬としてなら100倍以上に跳ね上がります。」
素材としてなら白金貨数枚なのに、薬として売れば100倍以上に跳ね上がるとエヴァが言い、俺は大いに驚く。
「そんなにか!?」
「ええ。それくらい、貴族にとって後継ぎ問題と言うのは、死活問題なんです。」
「確かこの国の王も、中々後継ぎが授からなくて困っているようだぞ?」
「貴族も大変なんですね。」
「ま、オレ達には関係無い事だがな。」
そう言うロラさん。
確かに、俺もあまり関わり合いを持ちたくはない。
だって、面倒臭そうだし。
「で、それ使うのか?」
未だにブツブツと言いながら、子宝精力剤を眺めている春香にそう聞いてみる。
「ひぇ?いや、使わないわよ?だって、今子供が出来たら困るじゃない。」
「そうそう。店も忙しいしね。だから、今は使わずに頑張る。」
「わ、私はタクヤさんが望まれれば、いつでも構いません!」
「私も、今はいいかな。戻る時に子供を連れて帰れるか分からないし。」
「あ~、その問題があったのか。エッチはするけど、私も今はパス!」
「アタシは使わないとダメかな。獣人族って他種族との間には中々子供出来にくいし。あ、今直ぐって訳じゃ無いよ?」
「オレも獣人族だからな。必要になったら使う方向だな。」
「私は、旦那様が望めばいつでも使う。」
全員の意見を集約すると、ヤル事はヤルが子供はまだいい。と言う事らしい。
つか、ヤルのは確定なのか。
持つかな・・・俺が。
「なら、一旦回収しとくぞ?流石にこれは外には出せないし、バレるとマズい。」
そう言って全員から精力剤を回収する。
必要な時に使う方向でいいよね?
「だけど、9人しかいないのに、10本あるよね?残りの1本はどうするの?」
涼子が鋭い所を突いて来る。
実際、そこが悩みどころだ。
下手に売れないこの精力剤。
だからと言って、もう一人増やすのかと言われれば、それは勘弁願いたい。
「何なら、国王にでも売り付けるか?」
ロラさんが笑いながら冗談を言うが、冗談でも止めて欲しい。
しかし、その冗談を本当に実行させてしまう奴が現れる。
「あんら~、話しは聞かせて貰ったわよん。それはいい事ね。是非、そうしてあげてくれないかしらん?」
そう、最近海坊主からドロップするプロテインを飲み、「筋肉が喜んでるわ!筋肉が喜んでいるのよ!」を連呼しつつも、更なる肉体美を追及しているキャサリンこと本名リックだ。
ちなみに龍平達曰く、海坊主戦は65戦65勝の負けなしだそうだ。
ただ、キャサリンこと本名リックのお陰で、俺達の貯金がバンバン増えているので文句は言えない。
「キャサリンこと本名リックさん、何でですか?」
「誰がリックじゃ!ん゛ん゛っん。そうねん。彼は、私の元冒険者仲間でもあるのよん。ちなみに、王妃も元仲間ねん。」
俺はその話を聞き、国王と王妃に同情をした。
だって、こんなオカマ・・・もとい。仲間が傍にいたら、気分的にダダ下がりだろ?
だが、キャサリンの言う事には、毎日頑張っているのだそうだが中々子宝に恵まれず今日まで来ているのだそうだ。ちなみに、国王29歳、王妃25歳だそうだ。
そんな情報要らんけどな。
「だからね、出来ればそれをアイツにあげて欲しいのよん。」
「国王をアイツ呼ばわりとかどうなんですか。」
「いいのよ、アイツはアイツだから。」
バチコーンとウィンクをするキャサリンこと本名リック。
「ま、まあ。一本だけなら・・・。」
その気持ち悪さに、少々言葉が詰まってしまう。
「あらん、ホントなの?」
「ええ。ただし、海ダンジョンの宝箱からのドロップ品と言う事にしといて下さいね?」
「そんな事言われなくても、分かってるわん。そもそも、あのダンジョン攻略の件は、王国にも報告されてるのよん?」
ゲッ、マジか!
「だから、そろそろ王宮から招集令が来る筈よん?」
「うわ~ぁ。絶対ヤダ。行きたくない。」
めっちゃ嫌そうな顔をしたのだろう。キャサリンは、笑いながら俺にトドメを刺す。
「ヤダって言われてもね~。アイツの事だから、逃げられない様に何か手を打って来る筈よん?」
え~。
俺は膝から崩れ落ちる。
そして、悪い事と言うのは続く時には続くものだ。
俺が_| ̄|〇の状態になっている時に突然部屋の扉が開き、慌てふためくアランさんが入って来る。
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