第32話 街到着!

街道を進む事2日、遂にリメリアの街へと到着した。

ぶっちゃけ、この世界に来て丸一年くらい経ってる気がする。(実際は半年くらい)

それくらい、森生活が長かった。

街に入る前に、エヴァに御者席に来て貰い色々とレクチャーを受けた。

そして、長い列に並びようやく俺達の番が来た。

城門の前で全身鎧を身に纏い、槍を手にした門兵の人に止められる。


「止まれ!身分証かギルド証を見せろ。」


俺はエヴァに教えて貰った通りに喋る。


「俺達、身分証は持ってません。これから、冒険者ギルドに登録に行く所です。」


「そうか、では仮の身分証を発行するから、馬車をこちらに寄せて中の人と一緒に着いて来なさい。」


俺は言われた通りに馬車を横に避けて停める。

俺とエヴァは御者台から降りると、エヴァは馬車番に、俺は扉を開けて全員に声を掛ける。

ゾロゾロと馬車から降りてくる15人。

どう考えても馬車の大きさと人との不釣り合い差に、門兵の人から「な、なあ。これマジックアイテムなのか?」と聞かれる。

「ええ、両親の形見です。」と打ち合わせ通りに答えると「そ、そうか。それは悪い事を聞いたな。」と言われた。

危ない危ない。

小屋の中に全員は入らないので、一列に並び手続きをしていく。

名前と年齢を書くと、「この石版の上に手を置いて」と言われる。

ちなみに、事前にエヴァから「一般市民には姓は無いので、名前だけを書いた方がいいですよ。」と言われているので、全員下の名前だけだ。それ以降、俺達はみな下の名前で呼ぶように気を付けている。

石版に手を置くと「犯罪を犯した事は?」と聞かれるので、「ないです。」と答える。ただそれだけだ。

あの石版が嘘発見器の様な役割なんだろう。

イシュカやイーリスまでが手続きを終えたのだが、ここで問題が。


「すみません、彼女は人では無く機械なんですが手続きは必要ですか?」


そう、リズの手続きだ。

種族も無ければ年齢も無い。

なので、思い切って聞いてみた。


「あ?ゴーレム人形か。なら手続きは要らないぞ。ギルド登録するなら、従魔登録しとけば問題無いぞ。」


と教えてくれた。

俺は安堵の溜息を吐くと、15人分の入市税銀貨15枚を支払い仮身分証を全員分受け取る。


「一応、この身分証の有効期限は7日だ。この街に7日以上滞在するつもりなら、領主館横の事務所に行って正式な身分証を作っておくように。冒険者ギルドか商業ギルドなどの各種ギルドに登録するのなら身分証は作る必要はないからな。身分証だけだと、街を出入りする際に入市税が掛かる。ギルド登録してりゃ、入市税は掛からないからな。んじゃ、リメリアの街へようこそ。行っていいぞ。ちなみに、冒険者ギルドも商業ギルドも大通りを真っ直ぐに行けばあるからな。すぐ分かる筈だ。」


俺は対応してくれた門兵の人にお礼を言うと、小屋を出て御者台に乗る。

そして、教えて貰った通り大通りを進んで行く。

初めて訪れたこの世界の街。

一言で言えば、ハウ〇〇ンボスみたいな街並みだ。レンガ風の建物が綺麗に整列して建てられている。

道は石畳で、馬車でも通りやすい。

そんな大通りを走る事5分少々。

門兵の人が言っていた建物へと到着する。

俺はエヴァに言われるまま、馬車を停める場所まで行くと馬車を止め、全員馬車を降りそして馬車を仕舞う。

この場所は、大通りから見えないので、仕舞っても問題無いとの事だ。

そして、ギルド前まで移動すると、ギルドの中へと入って行く。


ギルドの中は、広くそして綺麗な場所だ。

入口を入って左側に掲示板があり、そこには色々な紙が貼られている。そして、正面に受付、右側が買取カウンターとなっている。

その買取カウンターの更に右側に、丸テーブルと椅子が置いてあり冒険者らしき人達が木のコップを口に持って行き何かを飲んでいる。酒場か。

そんなギルドの中を見ながら、俺達は受付へと向かう。


「いらっしゃいませ。冒険者ギルド、リメリア支部受付のメイリーです。本日のご要件はどう言った事でしょうか?って、あれ?エヴァさんですか?」


受付のメイリーさんと言う女性は、にこやかに話しながらもエヴァを見つけて驚いている。


「あ、ええっと。うん。エヴァです。」


「生きてらっしゃったんですね!良かった良かった。ただ、既に依頼を受けて90日は経っておりますので、依頼は失敗となります。また、ランクGで依頼を30日以上お受けしてらっしゃらないので、登録抹消となっております。再登録は、既に抹消から30日経っていますので出来なくはありませんが、違反金並びに再登録費が掛かります。どうされますか?」


矢継ぎ早に喋繰り回した受付のメイリーさん。

俺達はついていけない。


「あ・・・ええっと・・・。」


エヴァはどうしていいか分からずに、口篭る。

ま、仕方ないよな。

だって、金持って無いし。


「エヴァ、再登録すればいい。違反金と再登録費は俺が出すから。後、すみませんが俺を含めて6人登録したいんですが。」


俺はメイリーさんにそう告げる。

お約束来るか?来るのか!?


「6名様ご登録ですね?では、こちらにお名前、年齢、得意な武器をご記入下さい。パーティーリーダーの方は、こちらの用紙にメンバー名とパーティー名もお書き下さい。決まっていなければ、後日でも大丈夫です。記入が終わりましたら、身分証と共にご提出下さい。エヴァさんは、違反金と再登録費を直ぐに計算しますので、暫くお待ち下さいね。」


お約束も来ぬまま、俺達は出された用紙に名前や年齢、得意な武器を書く。ここでも名前は下の名前だ。そして、パーティー用の用紙は何故か俺の元へ。

解せん。

パーティー名は決めてないのでブランクにし、メンバーは7名(俺、春香(伊川)、龍平、康太、美奈子(成川)、エヴァ、イーリス)の名前を書く。一応言っておくが、全てカタカナだ。

全てを記載した後に、仮身分証と共に手に持ち準備する。

ちなみに、リズとイーリスには言語理解の指輪を渡してある。なので、イーリスも書けるのだ。


俺達全員の用紙に記入が終わると、メイリーさんが城門の小屋にあった物と同じ石版を出す。


「お一人ずつ書類をご提出頂き、こちらの石版に手を置いて下さい。私が「いいですよ」と言うまでは置いたままにして下さいね?何方からやりますか?」


メイリーさんに言われるがまま、俺から順番に石版に手を置いていく。

そして、6人(俺、春香、龍平、康太、美奈子、イーリス)が終わると、6枚のカードを手渡される。


「こちらがギルドカードになります。パーティー名がまだ決まっておりませんので記載はないですが、表の面にはパーティー名、名前、ランクが記載されます。裏は何も書かれておりませんが、従魔が居る場合従魔の名前が記載されます。もし従魔がいる場合は、ちゃんとギルドに報告して頂かないと場合に寄っては討伐対象となりますのでお気を付け下さい。」


そこまで言われた時に、リズの事を切り出す。


「すみません。後ろのこのリズですが、機械なんです。門兵の方から、従魔登録しておけと言われたのでお願いします。」


「機械?ゴーレムですか?それともオートマタですか?」


「どちらかと言うと、オートマタですかね?」


「オートマタのリズさんですね。畏まりました。ギルドカードをお貸しください。・・・はい、出来ました。お返しします。で、続きをお話ししますね。」


と話し始めたのは、大体ラノベで良く書かれているルールだった。

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