第21話 連れ帰る

広間に戻ると、リズと成川、新谷、三宅が待っていた。

後から来る四人が揃うまで待つ事に。

その間に


「ねえ拓哉。この子はなんなの?」


と、成川に聞かれた。


「ん?リズって言って、俺の頼れる仲間だ。ちなみに、拠点に戻れば、龍平や伊川、澤田や委員長、副委員長もいるぞ。」


「えっ!龍平居るの!?」


「おう。何やかんや色々あったのさ。ま、詳しい説明は拠点に戻ってからだな。」


その後、数分で奥から四人が出てくる。


「さて、説明は後だ。急ぐとしようか。」


俺達は、盗賊のアジトを後にした。


一時間少々後。

辺りが暗闇に包まれ、足元すら見え辛くなる。しかし、ここで野宿する訳にはいかない。俺達は早足で森の中を歩く。


ガサガサッ


森の枝葉が揺れる音がする。

その度に俺とリズは銃を身構え、成川達5人は震え、現地人の2人は俺にしがみ付く。

いやさ、可愛い女の子が腕にしがみ付いてくるのはそりゃ嬉しいよ?だけどさ、銃を持つ右腕にしがみ付かれたら腕下がるだろ?

今、サーベルタイガーに襲われたら、確実に俺死ぬね。

とは言え、何事もなかったが。

ま、そんな感じでようやく屋敷が見えて来た。


「もしかして、拓弥の拠点てここなの?」


と成川がバカにした表情で聞いてくる。そうか、見えないのか。


「ああ。一応結界と隠蔽が張られてるから見えないのか。・・・よし、これで見えたろ?」


その瞬間、7人は口をポカンと開け屋敷を眺める。


「ね、ねえ。あれが拠点?」


「ああ。ま、説明は後だ。中に入るぞ。」


俺は三宅の言葉に軽く答え、屋敷に向かって歩き出す。


玄関を開け、中に入ると龍平が仁王立ちしていた。


「拓哉!遅かった───って、うぉ!また、お前7人も・・・ん?2人違うのか?にしても、また肩代わりしたのか?」


龍平が半分以上呆れた顔してる。


「いや、だってよ。成川だから仕方なくね?成川助けたら新谷と三宅が居たし、盗賊締め上げたら他に2人クラスメイトが捕まってるっつうしよ。見捨てれねぇだろ。んで、花房と原田助けたら、こっちの現地人2人がオマケで捕まってたんだぞ?流石にその場に置いて帰れねえしよ。」


「だが、それで5000億背負うのはな。」


「ま、何とかなるだろ・・・。」


俺は屋敷のロビーで7人に向けて口を開く。


「あ~とりあえず、お前ら風呂入って来い。っと、その前にクリーン!これで服も下着も綺麗になったからな。ひとっ風呂浴びて疲れを癒せ。龍平、伊川呼んで来てくんね?」


「おいさ!」


龍平は走ってキッチンへと向かう。

そして、伊川が現れる。


「伊川、こいつらに風呂の場所教えてやってくれ。後、こっちの現地人の2人は俺と伊川しか言葉が通じない。一緒に入ってやってくれないか?」


「ああ、そう言う事ね。分かったよ。」


ま、ウチの風呂はデカいからこの人数でも大丈夫だろ。


「龍平、ちょい話がある。」


「んん?分かった。」


俺は龍平と共に、俺の部屋へと向かう。


「今後なんだが、龍平は誰か助けたい奴は居るか?」


「俺か?ん~、まあ近藤が居たら協力してやりたいかな。女子は全くわかんね。」


「近藤か。了解。もし、他に女子がいた場合はどうする?」


最悪、俺が引き受けるしかないのかとは思う。


「ん~。まぁ、拓也だけに押し付ける訳にはいかんし、俺も肩代わりするさ。流石に俺だって、クラスの女子を見捨てるのは寝覚めが悪いしな。ブシドー精神だ!」


「つか、お前の武器小手だけどな。」


「確かに。」


「ま、これで方針は決まりだな。後は、実践を積んでバシバシ戦って魔石確保していくだけだ。」


「おう!」


何年掛かる事やら。


「あ、そうそう。盗賊のアジトで色々かっぱらって来たんだが、一緒に見るか?」


龍平が頷いたので、俺は書斎にアジトで回収した物を出した。


「剣が11本、槍が8本、短剣が14本、斧?なのか?が6本、弓が7つ、筒に入った矢が14か。槍に斧が付いたのが7本だな。」


「こっちは、革鎧が12に、鉄の胸までのが7。腰までのと小手、脛当てがそれぞれ6だな。」


「鑑定してみるか。」


銅の剣×4

鉄の剣×4

鋼の剣×3

鉄の槍×5

鋼の槍×3

鉄の短剣×10

鋼の短剣×4

鉄のトマホーク×4

鋼のバトルアクス×2

普通の木の弓×4

樫の木の弓×2

普通の矢×280本

鋼のハルバード×7

オークの革鎧×5

オーガの革鎧×4

ブラッドベアの革鎧×3

鉄のブレストプレート×7

鋼のハーフプレートアーマー一式×6


俺は鑑定結果を生徒手帳に書いていく。


「鋼系が結構あるな。龍平、オーガかブラッドベアの革鎧に変えたらどうだ?」


「そうだな。熊貰おうかな。」


「じゃ、清水にも熊と槍だな。後は、女子に着せよう。短剣は女子に持たせるとして、その他はとりあえず保留で。後は、この小袋だな。」


俺は小袋を10個程取り出す。

小袋と言っても、手をパーにしたくらいの大きさだ。


「これ、中身調べるから、10枚ずつに重ねてくれるか?」


「おうよ!」


硬貨が入っている袋を俺2龍平2で分ける。

その結果


「これ1枚が1Gなんだが、銅貨っうらしい。これが148枚。こっちの銀が91枚。金ピカのが64枚で白み掛かった銀色のが3枚か。」


俺はそれを生徒手帳に記す。


「よし、これは一旦俺が持ってるな。」


小袋に色毎に仕舞うと、ストレージへと入れた。


「後よ、この宝石やら指輪やらがあるんだが、またにしよう。全部鑑定するとめちゃくちゃ時間掛かるしな。」


龍平も「うへぇ~」と嫌そうな顔をするので、今日はこれにて終了だ。


ちなみに、ダイニングテーブルに全員座れなかった為、俺、伊川、イシュカ、エヴァの4人は応接室で飯を食った。

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