第20話 盗賊殲滅

銃を構えて洞穴を進む。

結構長い様な気がする。

そして、通路が終わりを迎えると、そこには広間があり盗賊の残りが酒盛りをしていた。


「リズ、もう殲滅していいからな。」


「畏まりました。」


リズはアサルトライフルのコックを弄る。

そして、二人が一斉に通路から出てトリガーを引く。

こう言う場合、拳銃よりアサルトライフルの方が連射が出来て楽そう。

なんて事を考えている間に、広間は殲滅されていた。

俺の出番が・・・。

そして、倒れている男達を数えると7人しか居ない。

What?

後一人は?と首を傾げていると、奥から屈強な身体付きの髭モジャモジャが出て来た。


「クソッ!妖面な魔法を使いやがって!男なら、正々堂々と拳で勝負しやがれ!」


と、右手に剣を持ちながら言われても、全く説得力が無い。俺もリズも銃口をモジャモジャに向けトリガーを引いた。

ターンッ

パーンッ

リズの弾丸は、モジャの眉間へとメリ込む。そして俺の弾丸は、モジャの右肩へと命中する。

恥ずかしっ。

ゆっくりと後ろへと倒れるモジャおやじ。


「終わりか?」


「殲滅完了です。」


コルトを腰に差し、辺りを見回す。

結構、酷いな。

スプラッター程ではないが、それこそ同じ人間を殺してしまった。ただ、そこに罪悪感は何故か無い。


「知らない盗賊より、知ってるクラスメイトってか?まあいい。リズ、外の3人をとりあえず洞穴へと連れて来てくれ。まだこっちの方が安全だろ。その間に俺は、捕まってるやつ助けるから。」


「畏まりました。」


俺は頭だろう男が出てきた通路に向かう。

と言っても、通路は短かった。

入ったら直ぐ出口だ。

そして、出た場所には四人捕まっていた。

は?四人?


「東條君!」

「東條君、どうして!?」


うん。この二人は知ってる。

うちのクラスの花房百合と、原田智世だ。


「どうしてもこうしても、成川達が盗賊に捕まっててな。盗賊締め上げたら、後二人捕まえたっつうから来てみたら、何で四人なんだ?」


後の二人は全く知らない。で、気絶してるっぽい。この二人、現地人なんじゃないのか?


「私達、言葉が通じなくて何も分からないのよ!」


「それよりも、助けに来てくれたんでしょ!早くこの縄解いて!」


俺は「やれやれ」と思いつつ二人の縄を短剣で切った。

ついでに残りの二人の縄も切ってやった。


「ちょいそこら辺見てくるから、水でも飲んで待っててくれ。」


俺は水筒を渡すと、残りの場所を調べに向かう。

調べて無い場所は二箇所。

花房達が捕まっていた場所の奥に二つ入り口がある。

俺は左側の方へと向かった。

ここは、髭モジャ頭の部屋か?

スゲー酸い匂いがする。


「ちょいこれはキツイな。クリーン!」


余りの匂いに、思わずクリーンを掛ける俺。


「スンスン。よし、匂いが無くなった。」


漸く調べられる。

盗賊の頭の部屋らしき場所には、まあ色々あったわ。

先ずは、花房と原田の物であろう携帯、生徒手帳、鞄だな。後は、小袋が10個程転がっている。

俺はその小袋を開けてみた。


「ん?これ1Gだよな?」


そう、最初にゴブリンを倒した時に確認した1Gが数十枚以上入っていた。

その他にも、銀色の硬貨、金色の硬貨、白み掛かった銀色の硬貨、宝石各種、指輪やネックレス多数が袋に詰められている。


「ま、とりあえず貰って帰ろうか。」


それらをストレージに入れると、もう一つの部屋へと向かう。

そっちは、食料や武器が置いてあった。

食料の方は、米とは違う白い粒の入った袋が多数、何の肉か分からないが干し肉が多数、黒いラスクの様な物が多数、酒樽20樽、塩袋多数だ。

武器は剣、槍、弓、矢、短剣、斧、ハンマー、槍の先に斧が付いてるヤツだが、剣だけでも10本はある。

鎧が、革鎧多数、胸までの鉄鎧、腹まである鉄鎧、盾、小手、脛当てだ。

良くもまあ、ここまで溜め込んだな。


全てストレージに入れると、その穴を出た。

穴を出ると、先程倒れていた二人が起きあがっていた。


「お?起きたか。」


俺がそう言うと、二人は怖がり後退る。


「俺が喋ってる言葉がわかるか?」


二人は顔を見合わせて頷く。


「俺は、東條拓哉。そこの二人の知り合いだ。助けに来たんだが、二人はこの後どうする?なんかこの森の魔物が少し強いっぽいから、もしあれなら一晩うちに泊まって行くか?この先に、家があるからさ。」


何か、ナンパしてるみたいだな。した事ないけど。

二人は、再度顔を見合わせて頷く。


「んじゃ、行こうか。あ、二人の名前は?」


「イシュカ」


「エヴァ」


おー!エヴァか〜。エヴァン○リオン見たくなった。

って、おい!

イシュカは、俺達と同じ年くらいの女の子だな。ただ、エヴァの方はと言うと、さっきまで気付かなかったが耳が頭の上に付いてて、背中の方からヒョコヒョコと尻尾が見え隠れしている。

もしや、ケモ耳か!?

来たか、来たのか、ケモ耳がぁぁ!

いや、いかんいかん。取り乱した。


「と、とりあえずここから出よう。外に仲間ま居るし。」


俺はそう言うと足早にその場を離れた。

いや、だって恥ずかしいだろ。ケモ耳見て浮かれたのが。

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