第13話 運の悪い奴
屋敷へと戻った俺は、金成達に会った事を二人に話した。
二人共凄く嫌な顔をしてた。
どんだけ嫌われてんのやら。
その上で、
「絶対に結界から出るなよ?それと、周辺で奴らに出会ったとしても絶対に入れてやりたいとか思うなよ?マジ頼むぞ?」
俺はそう二人に釘を刺した。
二人共、5人の事をあまり良くは思ってなさそうなので、真剣に頷いていた。
翌日
無料ガチャを引き、N冒険者の服上下(女)と言うご都合アイテムとHR言語理解LV3と言うこれまた都合のいいスキルが出たので、両方+余ってる冒険者の靴を伊川に渡して狩りに出かける。
一応、やつらが近くに居る可能性もある為、用心に用心を重ねて動く。
そして、またしてもクラスメイトに出会う。
それは、屋敷から出て2時間程した時だ。
その間に、オーク2体、オーガ1体を倒していた俺は、もっと換金率のいい魔物は居ないかと少し森の奥へと入り込んでいた。
すると、声が聞こえて来る。
「や、止めて!せっかく、手に入れたアイテムなのに、持って行かないで!」
「あぁん?うっせえよ!お前、武器あんだろうが!俺ら、武器すらねえんだぞ?あっても、銅の短剣だ!そんないい剣持ってんだから、これくらい寄こせや!」
と・・・。
またあいつらか。
こいつら、ここら辺にタムロしてんのか?
「リズ、アイツら5人の足元に向けて、ちょいと威嚇射撃してくんないか?」
「畏まりました。」
リズはそう言うと、5人の方へ向けてアサルトライフルを撃ち始める。
タタタタタタタタンッ!
突然聞こえる発砲音。そしてその音と共に足元の土や草が弾け飛ぶ。それに驚く6人。
「金成、お前またそんな事やってのか?」
俺は、金成達の方へと近付く。
「テ、テメー、東條!何しに来やがった!」
「何しにって、狩りしてたら声が聞こえて来たんで寄ってみただけだが?そしたら、お前らがカツアゲしてんの見ちゃったからよ。可愛そうだな~と思って、威嚇しただけだが?」
リズはアサルトライフルを構えたまま俺の横に待機している。
「チッ。おい東條!そのメタルを寄こせよ。そしてら、見逃してやっからよ!」
え?こいつ、この状況分かって言ってんのか?
「は?何でリズを渡さんといかんのだ?」
「あぁん?俺らが楽出来るからに決まってんだろうがよ!俺は3000億稼がねえと帰れねんだよ!ちったぁ、俺の為に協力しろ!」
あ・・・こいつ、媛之と割井の肩代わりしてんのか。
「いや、その服着てるって事は、お前も初回無料のガチャしたんじゃねぇのか?何かしら役に立つモン出ただろ?」
金成達は、制服から冒険者の服上下に着替えている。
しかも、靴もだ。
と言う事は、ある程度何かしら有用な物が出てる筈なんだが。
「あぁん!あんなクソガチャなんぞで出る訳ねえだろが!」
クソガチャ?
「ちょい待て。お前らこっちにいつ飛ばされた?何で5人一緒なんだ?」
それから金成の長い話が始まる。
要は、いつもの待ち合わせのコンビニで5人が落ち合う。
時間は7時10分頃。案外真面目だ。
コンビニから出た所で突然この世界に飛ばされたらしい。
そして、気が付けばこの森に居たと。
金成が振り返ると、そこには媛之と割井が。そのまま済し崩し的に二人の1000億を金成が背負う事に。
となれば、ガチャは男3人しか引けない。
金成は、冒険者の服上下、冒険者の服上下(女)×2、冒険者の靴×3、パン10個、銅の短剣、聖母の首飾り、魔法の水筒だったらしい。
あれ引いたんだ・・・。つか、ガチャ運悪くね?殆どNじゃん。
残りの二人も、同じようなもんで薬草やらがダブって出たらしい。
ただ、金成がそう説明した時、後ろの二人が目を逸らしてたから何か隠してる筈だ。
「なるほどね~。なら、銅の短剣でゴブリンでも倒せばいいじゃないか。清水のアイテムを取り上げるのはどうかと思うぞ?」
清水と言うのは、この5人にアイテム取られた奴だ。名前は、清水康太。ま、背が低く、眼鏡を掛けてて気弱そうな奴なんで、金成達からすると絶好のカモだな。
「うっせぇ!お前も、俺に持ってるもん渡せばいんだよ!早く出せ!」
金成の後ろで、四人が「悪男、やっちゃえ~」とか「生意気なんだよ!」とか騒いでる。
「知らねえよ。俺がこの30日頑張って稼いだ金で回したモンだ。お前らにやるつもりはサラサラねえな。」
俺がそう言った瞬間、金成の目が変わる。
「ちょい待て!、お前、30日も前にこっちに飛ばされたのか?」
「ああ。俺が家を出たのが6時45分だったからな。タイムラグがあるっぽいぞ。」
家じゃなく、トイレだが・・・。
「チッ。んじゃ、お前はテント以外にも色んなモン持ってるって事だな?」
「ん?んなもん、言う訳が無いだろ?」
あ、これ来ちゃう系か?
「おい、力望、津里瑪。こんな陰険根暗男より、こいつ狙った方がいいぞ。取り囲め!」
金成に命令された唯野と目芽が、俺の後ろへと回り込む。
「本当にやんのか?」
俺はその様子を見ながら金成にそう言う。
「うるせぇ!持ってるモン全部出しゃ、見逃してやんよ。」
「ふ~ん。やなこった。」
俺は腰からコルトパイソンを抜くと、金成の足元へと発砲する。
パァーン!
金成の足元の土が弾け飛ぶ。
そして、俺が銃を発砲したのを見て、金成が尻餅を突く。
「これでもやんのか?」
リズは俺の横でアサルトライフルと拳銃を両手に持ち、銃口を唯野と目芽に向けている。
「な、な、何でそんなモン持ってんだよ!」
「何でって、頑張ったご褒美にガチャから出たからだよ。まだやるなら、次はお前の頭ぶち抜くぞ?」
足元に向けていたコルトパイソンの銃口を、金成の頭の高さまで上げる。
俺が本気だとわかったのか、金成は「おい、引き揚げんぞ!」と四人に声を掛け、その場から立ち去って行く。
俺は、金成達が居なくなったのを確認して、コルトパイソンを腰に差す。
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