第12話 会いたくなかった奴ら

狩は順調で、既にフォレストウルフ5頭とオーク3体程倒した。

換金倍があるから810G稼いだ事になる。残金は2545Gになった。

そして気付けば時間は現在15時。もう少ししたら、暗くなり始める頃だ。


「今日はもう戻るか。」


俺はリズにそう告げ、屋敷に戻った。



翌日、今日も今日とて俺は狩に出る。

少しでも多くの魔物を狩って、3人分の金を貯めないといけないからだ。

高級革鎧を着込み肩からはスケープマントを羽織り、腰にはコルトパイソンと鋼の剣を装備。

よし、行くぞ!

っと、その前に。


「澤田、伊川、一日無料引くけどやるか?」


「「やる!」」


ハモりやがった。

俺はスマホの画面を二人に見せる。

装備・アイテムガチャを澤田が、スキルガチャを伊川が引く。


「HR無限調味料セットをゲット!」


「おおぉ!調味料ゲット!」


澤田、引きがいい・・・。しかも無限って。

そして、画面をスキルに変え、伊川が引く。


「HN料理LV2をゲット!現在、N料理LV2を所持していますが、破棄しますか?譲渡しますか? 破棄 / 譲渡」


んん?譲渡?


「ちょっと待て!押すなよ、絶対押すなよ!」


俺は伊川からスマホを取り上げる。


「譲渡って、スキルを渡せれるって事だよな?」


「そうじゃない?」

「だと思うよ?」


「とりあえず譲渡だ。」


俺は譲渡ボタンを押す。

すると、


「譲渡する相手を選んで下さい。」


というメッセージと共に、プルダウンが現れる。そして、そのプルダウンには伊川春香と澤田涼子の名前が。そして、その下に【譲渡】と言うボタンがある。


「二人のどっちかに譲渡出来るみたいだが、どっちが欲しい?」


「私、料理苦手だから・・・。」


「私は一応料理は出来るけど・・・。」


澤田、伊川の順だな。


「なら、料理の出来ない澤田が使え。確実に非戦闘員だから、何かして貰わねえと困るからな。」


「・・・わかった。」


俺は澤田の返事を聞いて、プルダウンから澤田を選択。そして譲渡ボタンを押す。


「澤田涼子にN料理LV2を譲渡しました。」


とメッセージが。


「おい澤田、自分のスマホ見てみ。もしかしたら、所持スキルっつうアプリが出てるかもしんねえ。」


そう言われた澤田は、慌てて自分のスマホを取り出し確認する。


「あ・・・あった!確かにN料理LV2ってのが増えてる!」


俺は自分のスキルアプリを開く。

そして、そこから譲渡が出来るのか確認する。


「ダメだな。俺が持ってるスキルと出たスキルが被れば譲渡出来るみたいだ。と言う事で、伊川には次に被りが出たスキルを譲渡だな。」


「うん、それで大丈夫だよ。」


「じゃあ、とりあえず俺は狩りに行って来る。さっき出た調味料とアプルル、パンと肉を置いて行くから、どっちかが管理してくれ。パンがそろそろ少なくなってきてるから、なるべく抑えて喰ってくれよ?んじゃ、行って来る。」


俺はそう言うと、キッチンへと行きストレージから大量のアプルル、イノシシを解体した肉を冷蔵庫に。パン25個はキッチンの作業台の上へと置いて狩りに出かけた。


その日も大漁で、ゴブリン5匹、オーク2匹、フォレストウルフ7匹程狩れた。

イノシシは狩れなかったが、代わりに鹿を発見。リズがスナイパーライフルで「パシュン」と仕留めた。

リズ、本当に万能だ。

そして、狩りからの帰り、恐れていた事が起こる。


「おっ?お前、東條じゃね?服が制服じゃねえって事は、お前もガチャ引いたんだな。」


森の中で突然声を掛けられた。

俺は、その声のする方を向く。

あちゃー。一番会いたくなかった奴だ。


「金成か。ああ、これはガチャで出たやつだな。」


彼の名は、金成悪男かなりわるお

クラスの悪い方のリーダー的存在の奴だな。

そして、金成の後ろにはぞろぞろと取り巻きが一緒に居る。


「お?ほんとだ。東條もこっちに飛ばされてたんか。」

「ギャハハハ、超ウケる。これ、クラス全員飛ばされてんじゃねえの?」

「可能性はありそうだよな~。」

「え~、それってぇ~クラス転移とかってやつぅ~?超ウケるんですけど~。」


「ところで、お前の横に居んのは誰だ?」


一応説明しとくと、上から唯野力望ただのちからもち。こいつは柔道部だな。次は媛之磨弥子ひめのまねこ、紙を金髪にして制服を着崩してるようなギャルだ。三人目が目芽津里瑪めがつりめ。こいつは良く分からん。目が狐目で、顔だけ見れば悪そうな顔をしてる。四人目が、割井連子わるいつれこ。媛之と同じく金髪のギャルだ。


「ん?リズか?ガチャから出た俺の仲間だ。」


「そんなメタルが出るのか?マジおもれえんだけど。つかよ、お前拠点何処よ?俺らも混ぜてくれるよな?」


来た来た!絶対にこう言って来ると思った。

誰が入れてやるかってぇの!


「俺の拠点?俺はフラフラ森を彷徨いながら、テントで暮らしてるだけだが?」


「テント?どんなんだ?」


チッ。見せたら確実にかっぱらって行くんだろうな。


「普通のテントだが?」


俺は、ストレージからテントを見せる。


「チッ。ホント普通のテントじゃねえか。だが、無いよりはマシか。おい東條、それ寄こせ。俺ら、クラスメイトだろ?困ってる俺ら助けんのもクラスメイトの役目だろ?」


・・・こいつ、バカじゃねえのか?


「は?断る。これしか無いのに、何で金成にやんないといけないんだ?」


「はぁ?お前、俺らに楯突く気か?いいから、寄こせよ!」


と、金成は俺の方へと殴りかかって来る。

しかしだ、マジックテント出してるからな・・・。


「グボッ!な、なんだ!?」


金成は結界に阻まれた上で、結界にモロにぶつかり尻餅を突く。


「なんだ?結界に決まってんだろ?こんなテントで魔物が彷徨う森で暮らせる訳ないじゃないか。」


「テ、テメー!良くもやりやがったな!」


「いや・・・何もしてないが。金成が勝手に結界にぶつかっただけだろ?」


後ろで取り巻き女がケラケラ笑ってる。

男二人は、俺を睨み付けて金成の方へ近寄って来る。


「拓哉様、排除しますか?」


「いや、まだいいよ。」


俺はリズにそう言う。

が、それが聞こえていたのだろう、金成は怒り結界を殴り始める。


「排除だと!メタル野郎が、生意気言ってんじゃねぇぞゴルァ!」


ただ、結界って結構堅いんだよね。

蹴つれど殴れどビクともしない結界に、とうとう金成がバテてしまう。


「もう気が済んだか?とりあえず、俺はお前らとツルむつもりはない。そっちはそっちで頑張ってくれ。んじゃあな。」


俺はそう言うと、フードを被りテントを仕舞うと屋敷とは違う方へと歩き出す。

リズは姿を消す事が出来ないので、俺がリズの手を引く。

バレバレだな。


しかし、奴らは追っては来なかった。

金成が疲れ切ってたのもあるが、理由は分からない。


そして俺とリズは少し迂回をしながらも、屋敷へと戻った。

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