第10話 女子が加わると色々困る

テントに戻った俺達は、先ず夕食を食べる事に。

とは言え、元々一人(+一体)で生活していた俺だ。

食器も無い、コップも無い、無い無いだらけの生活に女の子二人増えると色々困る。

先ずは水だな。

水筒が一つしかない。コップも無い。となると、必然的に水筒からの直飲みとなる。

思春期の高校生男子からしてみると、抵抗感バリバリだ。

にも関わらず、この女子二人は何のお構いも無しに口を付けガブガブ飲みやがった。

この後、俺はどうすれば・・・。


そして、もう一つ問題になるのがトイレだ。

今までは俺一人だったので、リズに近くに居て貰いテントから離れた場所で問題は無かった。

しかし、女子二人はそうはいかない。


「嫌、絶対に嫌!森の中で用を足すなんて、死んでも嫌!しかも、紙が無いから草って!何なの、ねえ、何なのよ!」


とまあ、二人とも俺に喰って掛かって来る訳だ。

知らんがな!


「俺にそれを言われても困る。そもそも、このテントだって俺のだ。食事にしても俺が狩りをしたり漁をしたりして得た物だ。嫌なら、ここから出て行って貰うしかない。」


とまあ、そう言うと一応は大人しくはなるんだが・・・。

ただまあ、3000億の事もある。

このまま放り出す訳にはいかないよな。


「リズ、申し訳ないが二人に付いて行ってやって貰えないか?」


「畏まりました。」


こうして澤田と伊川は渋々外へ用を足しに行きましたとさ。

めんどくせ。


二人が戻って来てから、俺はここが異世界である事、スマホアプリの事など色々と説明した。

そして、澤田と同じく伊川にも謝られた。

ま、あの状況だと、仕方がないけどな。

ちなみに、伊川も澤田と同じく7時5分頃に家を出たらしい。

トイレだったのは俺だけかよ!


「って事で、これから3人は一蓮托生となった訳だ。俺は金を稼ぐ。お前ら二人は俺に出来ない事をやる。ま、一番は料理だな。多分、二人にもストレージはあるはずだから、ちょっと確認してみ?ストレージって言えばいいから。」


俺が二人にそう言うと二人共「ストレージ」と呟く。

そして、俺には見えないが目の前に現れたマス目の様なものに驚いている。


「出たか?」


「出た!」


「私も出たよ!」


「んじゃ、これを仕舞いたいって思ってみ。」


俺のストレージから銅の短剣を2本取り出し一本ずつ手渡す。

そして、首を傾げながらも、思ってみたんだろう。手元の銅の短剣が二人共同時に消えた。


「んじゃ、次は銅の短剣を出したいと思ってみ?」


「あ・・・出た。」


「出たね。」


「まあ、そう言う事だ。上手く使えば食糧の確保が出来る。この中って、時間が止まってるみたいだからな。肉とか足の速い奴なんか、ストレージに入れておくといいぞ。」


俺は二人に銅の短剣をそのまま渡した。

何かするにも、短剣でも無いと困るだろうし。


「さて、それでだ。今、俺達がいるこのテント。実は3人用なんだ。だから、申し訳ないが俺もここで寝るからな?リズも入口で見張りをしてくれるし、ちょっと狭いが文句は聞かないぞ?」


二人は、渋々だが頷く。


「よし。後は、今後についてだが、先ずはGを貯めたい。あ~、Gつっても分かんねえか。こっちの世界の金はG。多分ゴールドじゃないかと思うんだが、G表示なんだ。そして、装備・アイテムガチャもスキルガチャも1回回すのに100G掛かる。今の所分かってるのが、ゴブリン15G、オーク35G、フォレストウルフ60G、ブラッドベア100Gだ。澤田が追っかけられてたのはまだ分からん。って事で、先ずは装備やスキルを揃えたいから、ここで狩りをする予定だ。俺の考えが正しければ、街に入るのにもGが掛かる筈だしな。先ずはGを貯め、アイテムとスキルを充実させ、街に行く。こんな感じだ。アンダースタン?」


「わかった。」


「わかったわ。」


「んじゃ、とりあえず今日は寝て、明日からまた頑張って行こう。」



俺はそう言って、テントの角で丸くなって休んだ。



翌日

身体が痛い。

流石に、寝返りすら出来ない体勢で寝るのは厳しかった。

俺は、澤田と伊川を起こさない様にそっと起き上がるとリズに声を掛ける。


「リズ、おはよう。いつも見張りすまんな。」


「拓也様、おはようございます。これが私の仕事ですのでお気遣いなく。」


俺は立ち上がると外へと出て伸びをする。

そして、結界の外に倒れているブラッドベア、鬼のやつ、オークの死骸を見つける。


「夜の方が魔物が活発なのかな?」


「そうですね。結構な魔物が徘徊してましたね。一応、テントに近付いた魔物は狩る様にはしてますが、遠い魔物は無視してます。」


俺はリズに「それで大丈夫だ。ありがとう。」と伝え、川へと顔を洗いに行く。

顔を洗った後は、リズに解体を任せ俺は魔石を換金する。


「昨日の鬼みたいなやつとオークを換金しないとな。」


そう独り言ちながら、スマホを開き魔石換金アプリを開く。

ストレージから鬼とオークの魔石を取り出し、先ずは金額の分かるオークを換金する。35Gがプラスされ、残金1235Gに。

そして初鬼のやつの魔石だ。

俺は、魔石をスマホの上に置く。


「オーガの魔石一つ110G。円に換金しますか?YES/NO」


よっしゃ!

過去最高、110G来た!

迷わずNOを押す。

その後、リズが夜中に倒したオーク二匹、オーガ二匹、ブラッドベア一匹を換金。

締めて、390Gが増え1735Gに。


「どうしようか。二人に服を出してやりたいが。テントも大きなのが出ないかな・・・。」


俺は悩んだ。

装備・アイテムにするか、スキルにするか。

結局、決まらないまま二人が起きて来る。

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