第9話 マジか・・・

澤田のスマホ画面を見せて貰った俺は、俺のスマホとの違いに悩む。

そして、澤田のスマホに入っている「異世界脱出のススメ」を読んでみる事に。


「何々?「異世界へようこそ!これから君は、異世界で生活して貰う事となったよ?この世界で頑張ってお金を稼いでね!現実世界のお金で1000億稼げば元の世界に帰れるから!あ、そうそう、こちっの世界のお金と現実世界のお金は混同しないようになってるの。だから、いずれか一方にしか換金出来ないからご利用は計画的にね?後、魔石換金ガチャは、魔石換金したこっちの世界のお金のみ使用可能だから。今後も続々と新ガチャが出るから、乞うご期待!」・・・。」


「俺と一緒だな。次ページは・・・っと。」


俺は次のページを開く。


「あ、そうそう。言い忘れたけど、この世界にはレベルは無いよ。基本的に生身の身体が基本だから。ただ、スキルと言うのはあるから、それを駆使して頑張ってね!死んだらそこで終わりだよ!それともう一つ。女の子は非力で可哀想だから、男の子を見付ければその男の子に1000億を肩代わりさせる事が出来るからね?その代り、男の子を見つけた瞬間に、換金アプリとガチャアプリは自動消滅しちゃいます!頑張って男の子を見付けよ~!では、頑張ってね~アディオス!」


「死ねやゴルァ!」


俺は、澤田の携帯を投げ付けたかった。が、踏み留まる。


「ねえ、何が書いてあったの?」


「自分で読め!」


ムカムカして来た俺は、澤田にスマホを返しテントを出る。

クソッ!自分の1000億でも厳しいのに、澤田の1000億まで俺が肩代わりさせられるとは。

マジムカつくわ!

つか、待てよ?って事は、もしかしてクラスの奴らもこっちに転移させられてるかもしれないって事か?

しかも、バラバラで。

俺がこっちに来たのは、確か6月7日の朝6時45分だ。

俺の家から高校まで徒歩で駅まで30分、駅から電車で40分。駅から歩きで15分掛かる場所だから、結構早く家を出る。

澤田は何時に家を出たんだ?


「おい、澤田!お前、何時に家を出た!?」


俺は、テントに入ると澤田にそう怒鳴りつけた。

澤田はスマホの画面を読んでいて、俺の怒鳴り声にビックリしスマホを取り落とす。


「な、何よ突然!」


「お前、今日何時に家を出た?」


「7時5分頃だけど・・・。」


「なるほど。その20分が30日の差になってんのか。こりゃ、他の奴ら死ぬかもしんねえな。特に女子。」


「ねえ、その事なんだけど・・・ごめん。私のせいで。」


ああ・・・全部読んだんだな。


「チッ。出会っちまったもんは仕方ないだろ。それに、あの状態で見殺しにするってのも寝覚めが悪いしな。」


「ごめん。」


「ただ、澤田にも色々やって貰うからな?おんぶに抱っこでお前の分まで俺が稼ぐなんてしねえからな?」


「うん!それはそのつもりだから。私に出来る事は何でも言って!」


「と言っても、お前スキルも何も無いだろうがよ。まあいい。とりあえず、今日の晩飯取って来る。このテントは、隠蔽と結界が掛かってるから、ここから一歩も出んじゃねえぞ!リズ、行くぞ!」


俺は、湯だつ頭を覚ます為、リズと共に狩に出た。

そして、またしても女子を拾う事に。


「キャー!来ないでって!止めて!止めてって!誰か助けてよ~!」


「・・・またか。」


俺は頭を抱えた。これで、もし出会うと3000億か。

ただ、気が付いてるのに、クラスの女子を見殺しにする訳にはいかんだろ。


「ええぃ、クソがっ!」


俺は声のした方へと走り出す。

そして見えて来たのは、オークが制服姿の女子の上に跨り、その制服を破っている姿だった。


「クソッ、そいつから離れろや!」


俺は、ストレージから無限鎖球を取り出すと、オーク目掛けて投げつける。

無限鎖球の鎖が伸び、オークの顔面へとクリーンヒットする。

が、その肉片が馬乗りになられていた女子の顔へと降り注ぐ。

地面へと倒れるオーク。

オークのスプラッターな姿を見て寝下呂しながら気絶する女子。

あちゃーやっちまった。


俺はその女子の元へと駆け付けると、オークの死骸を蹴り飛ばし女子にクリーンを掛けてやる。

こいつは、伊川春香だな。

うちの学校で一番人気の女子だ。

話した事は無いが、まあ顔くらい知ってるって感じか。

それよりも、どうするか・・・。

オークにビリビリに破り散らかされた制服から、胸がチラホラと見えている。

一応、ブラが外れてはないとは言え、とても目のやり場に困るのだ。

とりあえず、スケープマントを掛けて、オークから魔石を回収する。

そして伊川が起きるまで、他の魔物が来ないか見張りをする事に。


「リズ、近くに食べれそうな動物が居ないか見て来てくれないか?居たら狩ってきて欲しい。」


「畏まりました。」


リズは一礼すると、動物を狩りに行く。

俺は伊川を横目に、その場で警戒をする。




伊川が目を覚ましたのは、リズが狩りに出かけて30分程した時だ。


「はっ・・・私は一体。」


「おっ!目覚めたか?」


伊川の声がしたので、俺が声を掛ける。

すると、伊川はむくっと起き上がる。

するとどうなるかは想像できるよな?

せっかっく見えない様に掛けていたスケープマントがハラリと胸元から落ち、その綺麗な胸が「こんにちわ」っと姿を現す。

そして、目を背ける俺。

その俺を見て自分の胸元を見る伊川。

そして・・・


「キャーーーーーーーー!」


っと、叫ぶわけだ。


「ちょ!また魔物が寄って来るから、静かに!」


俺は伊川にそう叫ぶ。

もしかしたら、俺の方が煩かったかもしれない。


「ねえ、見た?ねえ、見たんでしょ!?」


「見たか見て無いかと言われると、見えたが正解だ。だから、目のやり場に困ってマント掛けてやってたんだが・・・。」


「あ・・・ホントだ。ありがとう。」


「いえ、どういたしまして。とりあえず、俺ので良ければ着とけ。」


俺はストレージから俺のシャツと制服を出し、クリーンを掛けてから伊川に渡す。

無論、見てないぞ?


「あ、ありがと。着替えるから、見ないでね?」


「見ないが、一応魔物が来るかもしれない。着替えるならさっさと着替えろ。聞きたい事もあるだろうが、説明は後だ。」


その後、着替え終わった伊川から、破れたシャツと制服を預かり、リズが戻って来た所でテントへと戻った。

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