第8話 言語来たぁぁぁ!

気を取り直して、スキルガチャを引く。

先ずは1日1回無料からだ。

いつもと同じ演出でガチャマシーンが揺れ、ポンとカプセルが出て来る。

そして現れたのは


N料理LV1


・・・絶対にふざけてるよな。

まあ、それでも料理が上手くなるなら儲けもんだ。

次の11連に掛ける!


俺は11連ボタンを押す!

いつもの演出はカットだ!

排出されたスキルは・・・


N料理LV1

死ね!


N生活魔法:クリーン

HN身体強化LV2

R毒耐性LV1

R麻痺耐性LV1

UR言語理解LV8

HN毒耐性LV2

HR剣術LV4

N採取LV1

SR錬金術LV5


「言語系来たぁぁぁ!」


俺は諸手を挙げて喜んだ。

やっとだぜ?やっと街に行けるんだぜ?

もう、ホント1カ月くらいリズとしか喋って無いんだからな?

それでもリズが居てくれたから、独り言を呟かなくてもすんだけどな?

いずれにせよ、これでやっとまともな飯にも有り付ける。

ただ、せっかくだし、もう少しここで稼いでから行くけどな。


そして、スマホ画面を見ると、メッセージが出ていた。


「同じランクのスキルが出ましたので、統合してHN料理LV2になりました。」

「同名ランク違いのスキルが出ましたので、R毒耐性LV1は破棄されました。」


なんですと!

同じランクが複数出れば、ランクアップで、同じ名前の違うランクが出ると、ランクの低い方が消えるのか・・・。と言う事は、同名、同ランクでレベル違いはれべるが1上がるのか?

ん~よくわからん。要検証だな。

とりあえず俺はガチャアプリを消しホーム画面に戻った。

すると、またしても新たなアプリが追加されている。

誰だよ、俺のスマホを勝手にいじる奴は!


「何々、所持スキルアプリだって?」


俺はその新アプリを開く。


ま、何って事の無い、今ガチャで引いたスキルが羅列されているだけだった。


N料理LV2

N採取LV1

N生活魔法:クリーン

HN身体強化LV2

HN毒耐性LV2

R麻痺耐性LV1

HR剣術LV4

SR錬金術LV5

UR言語理解LV8


これだけだ。

無駄なアプリだ事。


俺はスマホを閉じると、新たに覚えた生活魔法のクリーンと言うのを使ってみる。


「これ、叫べばいいのか?クリーン?」


その瞬間、1カ月も風呂に入っていない俺の悪臭漂う身体は、一瞬で綺麗サッパリとする。


「すげぇ!何だこれ!めっちゃ爽やかフレグランス!」


いや、意味が分からん。

まあ、とにかく風呂に入った後の様な爽快感を覚えた訳だ。


「これは使えるスキルだ!これイイよ!これにも掛けてみるか。クリーン!」


俺は座っているブラッドベアの毛皮にもクリーンを掛けてみる。

そして、毛皮に鼻を近付けスンスンと匂いを嗅ぐ。


「ん~、獣臭がしなくなった!これ、いいな。色々使えそうだわ。」


気分が良くなった俺は、鼻歌を歌いながら横になりそのまま寝てしまった。



翌日

気持ち良く目覚めた俺は、アプルルを齧ると鎧を着てコルトパイソンを腰に差し、スケープマントを羽織ると狩に出掛ける。

この数日で、銃も大分上手くなり反動で退け反らなくなった。だからなのか、弾がちゃんと魔物に当たってくれる。

とは言え、まだリズの様にピンポイントで眉間は狙えないけどな。


そして狩を始めて二時間。

森の奥の方からキャーキャーと言う声が聞こえて来る?

猿か?

俺はコルトパイソンを構え、声のする方へと向かう。

段々と声が近付いて来る。


「ん?何か聞いた事のある声だぞ?」


その声に聞き覚えがあった。

だが、こんな所に居るはずがない。

そう思った矢先、案の定聞いた声の主が俺目掛けて走り寄って来た!やっぱりか!


「澤田!」


「えっ!?東條君!何で、って逃げて!」


そいつは、同じクラスの澤田涼子だった!

俺の席の斜め前だから、良く声が聞こえるんだよな〜って、そんな事考えてる場合じゃねえ!

澤田の後ろからは、オークより一回りデカい鬼みたいな顔をしたヤツがこっちに向かってやって来る。


「リズ!あいつ倒せるか!?」


俺は咄嗟にリズの方を見る。


「お任せ下さい。」


リズはそう言うと、右手に銃を出す。

あ・・・あれ、対物ライフルって言ってた奴だ。

そして、リズは銃を構えて鬼みたいなやつ目掛けて発砲する。


ズドンッ


銃口から撃ち出された弾が、鬼の眉間へと吸い込まれる。

そして、鬼は何が起きたかすら分からぬままにそのまま前のめりで倒れ込んだ。


「拓哉様、抹殺完了です。これより、剥ぎ取りに掛かります。」


「あ、ああ・・・よろしく頼む。」


もう、リズって何でもありだな。

そう思いながら俺がリズの方を見てると、澤田が近付いてきた。


「ね、ねえ。東條君だよね?」


「おう、東條拓哉だ。つか、何で澤田がここに居るんだ?」


「何でって言われても、家の玄関から出たら突然森の中に居たの。そして、もう何が何だか分からなくてお母さんって叫んだら、さっきの奴に追われて・・・。」


ん?って事は、澤田が来たのは今日なのか?


「澤田、お前が玄関出たのって、何月何日だ?」


「今日?6月7日の火曜日じゃない。」


ゲッ!俺が飛ばされた日と同じなのに、30日も開いてるし。


「マジか・・・。俺が飛ばされたのも同じ日だったが、俺は既にこっちの世界で1カ月も過ごしてんぞ。」


「えっ!?そんなに?」


「ああ。ま、とりあえず、ここに居たらまた魔物に襲われ兼ねないし、俺の拠点に移動しようか。リズ、そっちは?」


「もう終わります。」


「一旦テントに戻ろう!」


俺がリズにそう言うと、澤田が俺に耳打ちして来る。


「ね、ねえ。あの女の子は誰?」


「ん?あれか?あれは、ARIZ-0021プロトタイプ。通称リズだ。俺の仲間だな。」


「はぁ?プロトタイプ?仲間?どう言う事?」


「んまあ・・・そこら辺も含めてちゃんと話してやるよ。ところで、スマホは持ってんのか?」


「ええ。スマホは鞄の中に入ってるわ。」


「まだスマホ見てないんだろ?」


「うん。だって、そんな事する間も無くさっきのに追いかけられたから。」


「了解。ま、リズも終わったみたいだし、テントに戻ろう。」


リズが魔石と鬼の角と牙を持って来たのでストレージへと仕舞い、テントへと戻った。

テントに戻ると、俺は澤田にアプリの事を話す。

しかし


「私のスマホにはそんなアプリ入って無いわよ?ただ、東條君が言う通り1000億稼がないと戻れないってアプリは入ってる。」


ん?それおかしく無いか?


「ちょいスマホ見せてくれ。」


俺は澤田のスマホ画面を見る。

あら、本当に無いわ。

あるのは、異世界脱出のススメのみ。

これ、詐欺だろ。

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