第7話 クソアイテムと新たなガチャ

せっかくの60G×7匹を逃した俺は、肩を落とし焼けた魚を啄む様に口にする。

本当にショックだ。

まさかの異世界での銃で、まともに撃てると思った俺がバカみたい。


「はぁ・・・。」


魚2匹を食べ終わり、焚火を見ながら溜息を吐く。


「なんか世知辛い異世界だな~。」


あれから円は貯まっていない。

1500円のままで表示は止まっている。

だって、先ずは俺が生きる事を考えないといけないんだもんさ。

無限鎖球とコルトパイソンで、1000億円貯められると思うか?

俺は無理だと思うね。

だって、ゴブリン6666万匹だぞ?あれ?計算合ってたっけ?

いずれにせよ、ゴブリンをウン千万匹とか有り得ん。

ウルフですら1600万匹だ。途方も無さ過ぎる。


焚火を見ながら「はぁ・・・」と何度も溜息を吐く俺に、リズが近付いて来る。

慰めてくれるのかな?


「拓哉様、魔物です。」


そう思った俺がバカだったよ!

リズそう言われ、指さす方を見ておれは固まる。

デカっ!


そこには、二本足で立ち上がる体長5m程の熊が居た。

鑑定の指輪で確認すると、ブラッドベアと出た。


「ブラッドベア?」


近付いて来て初めて気が付いたが、全身赤茶色で確かに血色な感じがある。

そして、その爪と牙の鋭さに恐怖を覚えた。


「リ、リズ。あれ、倒せるか?」


「全く問題はありません。お任せを。」


そう言うとリズは何処から取り出したのか、手に銃を握っていた。

そして、少し距離を取ると、銃の上に付いているスコープを覗きトリガーを引く。


パシュッ


そんな軽い音がしたかと思うと、ブラッドベアはドッスンと音を立てて

後ろへと倒れた。


「さ、流石・・・リズ。」


「拓哉様、あの熊の毛皮は気持ちが良さそうです。綺麗に剥ぎ取り、テントの中の敷物にしましょう。」


リズはそう言うと、ブラッドベアの元へと向かい手際よく皮を剥ぎ取り始める。

そして、毛皮と魔石を手に取り、テントへと戻って来る。

いや、死体をどうにかして来いよ!


「明日、この毛皮を川で綺麗に洗い、天日干しすれば敷物として使用できると思います。」


「あ、ありがと。」


「それと、こちらが熊の魔石です。」


俺はリズから魔石を受け取ると、さっそくスマホで換金してみる事に。

チャリーンと言う音と共にメッセージが現れる。


「ブラッドベアの魔石一つ100G。円に換金しますか?YES/NO」


「100G!一つで100Gかよ!」


俺は迷わずNOを押す。


「残金130G!これ、メモアプリに換金G書いといた方がいいな。」


俺はスマホを開くと元々入っているメモアプリを開き、今まで換金してきた魔物の名前と換金Gをメモして行く。


ゴブリン15G

オーク35G

フォレストウルフ60G

ブラッドベア100G


これだけだけど。

にしても、換金率って魔物の強さによるみたいだな。

10段階表示で考えると、ゴブリンが最弱の1。オークが2ってところか?フォレストウルフが4くらいで、ブラッドベアが5か6くらいか。

これ、もっといい武器が出て、強い魔物を倒して魔石が手に入れば一気に1000億に近付けるかも!

そうだ、そうかもしれない!

となると、やはり最初はガチャを回して装備なんかを整え、その後円に換金して行く。これが近道だな。


そうと決まれば話は早い。

先ずは10連ガチャを回す為に魔物を狩る。

10連ガチャで強い武器が出てきたら、少しずつ円に換金して行く。

うん、これだ。


翌日から俺とリズはテントをそのままに、森の中を捜索した。

多いのはやはりゴブリンとオークだな。後、フォレストウルフが群れで動いている。ブラッドベアはあれから見かけてはいない。

俺はコルトパイソンを片手に、とにかく撃って撃って撃ちまくって魔物を倒して行った。

お陰で、5日後には、フォレストウルフ×18匹、ゴブリン24匹、オーク18匹の成果が上がった。

これで、残金2200Gだ。

そしてその日の夜。

俺は夕食を済ませ、テントの中で手揉みをしている。


「さて、お待ちかねのガチャタイムだ!翻訳とか、言語系の何かが出ますように!」


俺はスマホに祈る。

多分、傍から見るとバカみたいなんだろうな。

そして、意を決しガチャを回す。

出たのは、N毒消し草×2、N銅の短剣、HR鋼の剣、R高級革鎧、SR召喚の指輪、Nパン10個×2、SSR聖母の首飾り、HR鉄のガントレット


またしてもの召喚の指輪と、聖母の首飾りと言う不思議アイテム。

その他は、何となくわかるから問題は無い。

先ずは、鉄の剣を鋼の剣に変更し、革鎧を高級革鎧に変更。ガントレットを左腕に装着したら、SSR聖母の首飾りを調べる。


・SSR聖母の首飾り

聖母の如き温もりに包まれる首飾り。

特に効果は無い。使用されている金属が神炎鉱なのでランクが高い。


以上だよ。

クソアイテムか!

神炎鉱なんて知らねえよ!

今回のガチャは外れだな。いや、パンが出たから微当たりか。

もう一回回すかとスマホ画面を見る。

すると、今まで灰色になっていた▶が点滅しており、次のページに移動出来るようになっていた。

俺は何も考えず▶を押す。

すると、画面自体は変わらないが、今まで「装備・アイテムガチャ」と書いてあったのが「スキルガチャ」となっていた。


「よっしゃ!スキル来たー!」


そして、やはりと言うか、一番下には「1日1回無料」と「初回11連無料」のボタンが。そして思い出す。・・・あ。1日1回無料をすっかり忘れてたよ。

こっちに飛ばされて、今日で約30日は経ってると思う。

しかし、俺の頭の中では「10連ガチャ」しか無く、魔石換金アプリはちょくちょく見てるが、ガチャアプリは見て無く1日1回無料を一度も引いてない。


「ぐぉ!勿体ない事した!1日1回でも引いてれば、パンが出てたかもしれないのに!」


叫んだ所で、仕方が無い。


俺は、装備アイテムの方へと画面を切り替える。

そして、1日1回無料ボタンを虚しく押す。


はい、薬草でした。

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