第5話 狼最高!

あれから二週間程経った。

俺もゴブリンくらいなら鉄剣での戦闘にも慣れて来た。

オークはまだ無理だな。

そして、魔石換金も頑張って475Gまで貯まった。

ゴブリン7匹とオーク8匹だな。ま、兎を狩りながらだったし、当分森には入らなっかったので仕方が無い。

そして、円の方は現在換金ストップしてる。だって、先ずは会話が出来るようにならないと無理だろ?

ただ、ここで問題が発生する。

今朝の朝食でパンが無くなったのだ。

森へと移動した数日後、流石にパンを丸々食べるのはマズいと思った俺は、パンを半分に割りなんとか凌いでいたのだが・・・遂にそのパンが切れた。

俺は意を決し、貯まったGで単発ガチャを引く。

そして出たのがN銅の斧、N薬草×2、N冒険者の靴だった。残りは75G。


「ヤバい。これ結構ハードモードかもしれない。流石にパンが無くなるのは痛いな。」


そう、魔物を食べる事が出来ればもっと生活が楽になってた筈だったんだ。

だけど、この世界では魔物は食べられない。食べられない事は無いが、毒性が強く食べると死んでしまうらしい。そんな危険を冒してまで魔物を食べようとは思わないわな。

となると、やはり普通の動物が生命線となる。

朝と昼はパンを食べ、夜は兎肉のみと言う生活をしてはいたんだが、それでも日が過ぎればパンが尽きてしまう訳だ。

ただ、少し余裕があるとすれば、昨日たまたま森の入口をウロウロしていたイノシシをリズが狩ったので、それとストックしてある兎3匹で何とか食い繋ぐ事が出来る事だろうか。ま、それにしても穀物系が無いのは辛いな。


「リズ、ここから離れて別の場所に行こうか。流石にゴブリンやオークだけで1000G貯めるのは無理がある。」


「畏まりました。では、どちらに向かいますか?」


「ん~、街道には出たくないから森を進もうか。奥に行けばオーク以外の魔物が居るかもしれないし。」


俺はテントを仕舞うと森へと入って行く。




もっと早く森に入るべきだった。

森に入って3時間程歩いた。

そして、目の前の木に何か丸い物が生っているのを発見する。

鑑定の指輪を使い調べてみると、


・アプルルの実

所謂リンゴ。自生している物は甘くて美味しい。


だそうだ。

俺は、銅の斧を取り出すと、無心で木を切り倒しアプルルの実を捥ぎ取った。

その数50個はくだらない。

そして、それを齧る。


「ん~、美味い!当面、これが朝飯だな。」


他にもアプルルの生る木が数本あったので、それを切り倒しアプルルを回収して行く。

ただ、その木を切る音と、木が倒れる音に引かれて魔物が集まって来る。

ゴブリンとオークはまだいい。

しかし、厄介そうなのが現れた。

狼だ。しかも、5頭もいる。


「リズ、狼お願い!俺はとりあえずゴブリン倒す!」


「畏まりました。」


俺は鉄剣を握り、ゴブリン相手に斬り掛かる。

ゴブリンの数は3匹。

オークは2匹だ。

オークは鈍重なので後回しでも問題はないが、狼がこっちに来ると俺は確実に死亡してしまう。

俺はさっさとゴブリンを倒すべく、剣を振り回す。

その時だ。


パン、パン、パン、パン、パン


と、五発の銃声が鳴り響く。

俺はそっちの方を見たいが、目の前にはゴブリンが居る為見れない。

そして、更に


タン、タン


と、二発の銃声がする。

最後のゴブリンを倒した俺が音のした方を見ると、アサルトライフルを構えたリズが居た。

そして、倒れた狼とオークの眉間には、弾丸がメリ込んだ穴が。

流石リズ、頼りになる。


「リズ、ありがとう。さっさと魔石を確保してこの場を離れよう。」


俺とリズは倒した魔物から魔石を取り出すと、一旦ストレージへと放り込みその場を後にした。

ちなみに、狼は魔物だった。フォレストウルフを言う名前らしい。


それから一頻り森の中を歩いた俺達は、小休憩の為に少し木の感覚が広い場所へとテントを出す。

そしてテントへと入ると、ストレージから焼いた兎のもも肉を取り出し齧る。

一応言っておくが、火を起こすのさえ大変なんだ。

よくテレビなんかで火起こしをしているが、早々燃えやすい繊維質の物なんて落ちてない。では、俺はどうしているのか。

正解は、リズが火を点けてくれるでした。

リズの身体の仕組みが今一良く分からんが、指の先にライター並みの火が点く。

これを枯れ枝などに移し、とにかく肉を焼いてストックしていると言う訳だ。

ただ、イノシシに関してはまだ生のままだが。

話しが逸れたが、兎肉で腹を満たした俺は、先程の魔石を取り出し換金アプリで換金する。


「ウルフがいい金になりますように!」


俺は祈る思いで黒く四角い部分へと魔石を乗せる。

チャリーンと言う音と共に、メッセージが現れる


「フォレストウルフの魔石一つ60G。円に換金しますか?YES/NO」


「よっしゃー!一つ60G来たーー!」


俺は迷わずNOを押す。

そして、次々と魔石を換金して行く。


「残金490G!一気に増えた!よし、当面フォレストウルフを狩って、換金させていこう!」


とりあえずの方針が決まった俺は、もう少し過ごしやすい場所を求めて森を奥へと進んで行く。

しかし、その日良さそうな場所が見つけられず、先程同様に少し開けた場所へテントを張り一夜を過ごす事にした。

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