第4話 どんな無理ゲーだよ!
その日はそのままテントで一晩を過ごす事にした俺とリズ。
だって、話しが終わると既に夕方だったし。
夕食はパン(コッペパンのような10cmくらいの細長いパン)を齧り水を飲んだだけだ。ひもじい。
リズは寝る必要が無いみたいで、テントの出入り口の場所でジッと外を見ている。
俺はリズに「お休み」と一言声を掛けて就寝した。
翌朝、昨日早く寝てしまったせいでまだ日も上らぬ内から目が覚めた。
リズは相変わらずテントの外を見張っていた。
「リズ、おはよう。」
「拓哉様、おはようございます。」
俺は水筒から水を飲む。
歯みがきたいな・・・。
「一晩中外見てたのか?」
「はい。拓哉様の仰った魔物と思わしき者が、何度か通り過ぎて行きましたので仕留めておきました。後程、魔石と言う物を回収して参ります。」
後から魔物の死骸を見たが、額に一発ズドンで仕留めたみたいだ。
意外とリズ怖い・・・。
その後、魔石を換金してみたが、
ゴブリン・・・1500円
オーク・・・35G
だった。
と言う事は、1G = 100円と言う換金率だ。
1000億貯めるのに、ゴブリンの魔石何個だ?
100,000,000,000円 ÷ 1500
66,666,667個・・・バカじゃねえ!
ゴブリンを66百60万匹以上倒さないといけないのか?
あ・・・でも、オークだと3500円だから、もう少し低くなるのか。
と言っても、かなりの量倒さないといけないのは確実で、しかもこれに日々の生活が乗っかって来る。
ちなみに、ラノベなんかでオークの肉は美味しいと評判だが、こっちの世界では魔物の肉は食えないらしい。
ちょっとガッカリした。
とりあえず、現在の換金額は1500円と90Gだ。
リズがゴブリン2匹とオーク1匹を倒してくれたからな。
俺はスマホ画面を見ながら溜息を吐くと、「いくか。」と呟き荷物を仕舞って歩き出す。
そもそも突然草原に連れて来られ、ゴブリンを何とか倒し逃げる様に適当に走った俺だ。どっちに行けばいいのか全く分からない。
「だが、道はあるはずだよな?ラノベとかだと大体近くに町がある場所に転移させてくれてるはずだけどな。」
少し期待を胸に歩くが、その期待は大きく崩れ去る。
行けども歩けどもそんな物に遭遇しない。
途中ゴブリンやオークが数体と、食べられる普通の動物(兎だが)をリズがパシュンと一発で仕留め魔石と肉を確保。
そして街道すら見つからぬまま今日一日が終わる。
この世界に来て三日目。
今日も今日とて街道を探して歩く。
昨日狩った兎が殊の外美味く、今日もリズに頼んで兎を狩って貰う。
一応俺も戦闘訓練の為、無限鎖球を使ってみる事に。
「リズ、ゴブリンが一匹で現れたら、俺が倒してみるから。」
「畏まりました。」
そして都合よくゴブリンが一匹現れる。
まだこちらには気付いてはいないようだ。
俺は右手に無限鎖球の革バンドを嵌め、鎖を握ると頭の上でブンブン振り回す。
そして、勢いが付いた所でゴブリン目掛けて投げつける。
俺の手元から離れた球体は、鎖がどんどんと伸びゴブリンへとブチ当たる。
グジャ!
物凄い嫌な音と共に、ゴブリンの身体が飛び散った。
おいおい・・・スプラッターじゃねえか。
魔石回収の為に近寄ってみたが、ゴブリンの上半身は物の見事にグチャグチャ。
肉片が飛び散り、魔石が何処にあるのかすら分からない。
「マジかよ・・・。この武器、使えねー!」
俺はガックリと肩を落とす。こいつ、使い処を考えないとダメだな。
俺は無限鎖球を一旦ストレージに仕舞うと、鉄の剣を腰にぶら下げた。
それから歩く事数時間。
かなり疲れたが、ようやく道らしき場所に辿り着いた!
そこは、人や馬車が往来する活気のある道だった。
俺は早速、道行く人に町が何処にあるのか聞く為声を掛ける。
「すみません!これ、どっちに行けば大きな街に行けますか?」
しかし、無情にもその問い掛けに答える者は居ない。
いや、居ない訳では無いのだが、
「&%#?、*#@&#%”!」
何言ってるか分からん。
これって、もしかして言語何とかってスキルが無いと通じないのか!?
それくらいサービスで付けとけよ!
俺は声を掛けた人に頭を下げ、来た道を走って逃げる様に戻った。
だって、どう考えても怪しい人物じゃないか。
言葉が通じないって事は、町に行っても会話すら出来ないと言う事だろ?
そんなんで、どうしろっちゅうねん!
「リズ、とりあえずさっきの場所あたりに戻って、言葉が通じるアイテムが出るまでゴブリンやオークを倒し、魔石換金ガチャ引きまくるぞ!」
「畏まりました。」
俺はリズにそう伝え、街道から相当離れた場所まで戻って来た。
いや、ホントにリズ召喚しといて良かった。
俺達は、森の裾まで来ると、テントを張りそこで狩りをする事に決めた。
食べ物は兎を狩ればいい。
ガチャの外れでパンも出て来る。
水も大丈夫だ。
強いて言えば、塩くらい欲しい所だが贅沢は言ってられない。
俺とリズはそれから毎日森に入ったり、草原で狩りをしたりして過ごした。
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