第2話 問題有りそうなヤツ

ゴブリンを倒した場所を離れ、ここまで来れば大丈夫だと思う場所で止まると俺は疲れた身体を休める為に地面に腰を下す。


「ふう。とりあえず、一息吐ける。」


俺は右手に持っている銅の短剣を見る。


「銅製の短剣か。やっぱりここは異世界なのか?」


俺もサバイバルナイフくらいは知っている。しかし、こんな銅製の短剣なんかは縄文時代や弥生時代辺りに使用していたくらいは知っているが、現代で銅なんて使っている短剣など知らないし。


「まあいい。とりあえず色々調べないとな。ストレージ!」


俺がそう言うと、先程同様に目の前に横5列、縦10列の枠が現れる。

一番左上には、先程換金した15Gが入っている。

俺は銅の短剣を仕舞いたいと思うと、俺の手から銅の短剣が消えストレージに表示される。

再度、銅の短剣を出したいと思うと、右手に銅の短剣が現れる。

15Gを取り出したいと思うと、掌に15Gが現れる。

ちなみに15Gは丸い硬貨だった。


「なるほど。必要な時に出したいと思えば出る。仕舞いたいと思えば仕舞えると言う事か。」


納得した俺は15Gをストレージに仕舞うと、次に初回無料11連ガチャを引いてみる事に。

魔石換金ガチャアプリを開く為スマホを開ける。

さっきと少し違う。


「電波は相変わらず圏外か。ん?なんだこのアプリ。」


魔石換金アプリと魔石換金ガチャアプリの横に、新たなアプリ。その名も「異世界脱出のススメ」なるアプリが。

俺は、そのアプリを開いてみる。


「何々?「異世界へようこそ!これから君は、異世界で生活して貰う事となったよ?この世界で頑張ってお金を稼いでね!現実世界のお金で1000億稼げば元の世界に帰れるから!あ、そうそう、こちっの世界のお金と現実世界のお金は混同しないようになってるの。だから、いずれか一方にしか換金出来ないからご利用は計画的にね?後、魔石換金ガチャは、魔石換金したこっちの世界のお金のみ使用可能だから。今後も続々と新ガチャが出るから、乞うご期待!」・・・。」


俺は説明を読み切ると、スマホを投げ捨てた。


「ふざけてんのか!何なんだこの軽さ!しかも、突然こんな所に連れて来て、1000億貯めないと帰れないだと!誰だ、こんな事する奴は!おい、出て来い!」


と言っても誰も答える筈はない。

俺は虚しくスマホを拾い上げる。


「ん?」


スマホ画面を見て気付く。

次のページがある事に。

俺は次のページを開く。


「あ、そうそう。言い忘れたけど、この世界にはレベルは無いよ。基本的に生身の身体が基本だから。ただ、スキルと言うのはあるから、それを駆使して頑張ってね!死んだらそこで終わりだよ!では、アディオス!」


・・・クソムカつく!

ムカムカとしてくるのを押さえ、とりあえず魔石換金ガチャアプリを開く。

先程は一番上が「0G」だったはずなのに今は「15G」に。「1日1回無料」だったのが「1回100G」に変わっていた。

「そんな事はいいんだよ!」と独り言を言いながら、アプリ画面の右下の「初回無料11連」を引いてみる事に。

ガチャマシーンが踊り出し、中のカプセルが飛び跳ね、排出口からカプセルが11個飛び出しメッセージが出る。


「R魔法の水筒をゲット!(画面をタッチして次へ)」


えらく・・・凝ってんな。

俺は画面をタッチする。


「Rマジックテント3人用をゲット!(画面をタッチして次へ)」


・・・一々ムカつくな。

俺は画面をタッチしまくる。


「Nパン10個をゲット!」

「SR鑑定の指輪をゲット!」

「R鉄の剣をゲット!」

「N冒険者の服上下をゲット!」

「Nパン10個をゲット!」

「N冒険者の靴をゲット!」

「HN革鎧をゲット!」

「UR無限鎖球をゲット!」

「SR召喚の指輪をゲット!」


画面に獲得したアイテムが表示され、「獲得したアイテムは全てストレージに入りました。」のメッセージが。

俺はストレージを開けて中を確認する。


「ゲームと一緒でアイテムにランクがあるんだな。とりあえず、パンはいいとして、水筒。喉がカラカラだ。」


俺はストレージから魔法の水筒を取り出す。

名前的に魔法瓶かと思っていたが、出て来たのはシューズ入れくらいはありそうな大きさの革製の袋状の物だった。

喉がカラカラな俺は、「そんなん知るか!」とばかりに水筒の蓋を開け口を付け思いっきり傾ける。

すると、中から水が出て来て俺の喉を潤してくれる。

しかも、この水なんだか飲んだ途端に元気が出て来る。不思議だ。

ついでに、さっき大をした後手を洗っていなかったので、魔法の水筒を傾けて手を洗う。

そして、喉の渇きが癒えると、他のアイテムの確認をする。


「まずはマジックテントなる物からだな。」


俺はストレージからマジックテントを出してみる。

ポンっと言う音が似合う感じで、目の前に三角錐のテントが現れる。

中を見ると、ポールレスのテントで中で立つ事が出来そうなくらい天井が高かった。


「3人用くらいかな?」


中に入ってみると、3人が横になれるくらいの広さがある。


「しかし、何がマジックなんだ?」


マジックと言うからには、例えば中が見た目より広いとかそんな機能があると思うじゃないか。

しかし、このテント。全く広さは見た目通りで、どんな機能があるのか分からない。

俺は首を傾げながらテントから出ようと入口を開ける。

そして固まる。


目の前にゴブリンが歩いていたのだ。

しかし、ゴブリンはこちらに気付いては無いようで、キョロキョロと辺りを見回してながら何処かへと立ち去った。


「もしかして、結界とかそう言う系か?いや、テント自体を見えなくしてるのか?あ、鑑定の指輪使ってみればわかるか。」


俺は鑑定の指輪を右手の人差し指に嵌めてテントを見てみる。


・マジックテント

テントの周り半径2m程に結界と隠蔽効果のあるテント。中ランク程度の魔物なら気が付かない。また、使用者が許可を出した者しか結界の中に入る事が出来ない。


「メチャクチャいい機能じゃねえか!」


敵が居てもテントの中に居れば、見つからないと言う事だ。それに、俺が許可しない限り誰もこのテントに入る事が出来ない。

ラッキー!

俺はそのままテントの中で残りのアイテムを取り出す。


「旅人の服か。動きやすそうだし、こっちに着替えるか。革鎧?この紐で調整するのか。」


俺は旅人の服に着替え、革鎧を四苦八苦しながら身に着ける。今まで着ていたブレザーは、ストレージへと仕舞い靴も履き替えた。


「さて、問題はこの二つだな。」


俺は無限鎖球と召喚の指輪を眺める。

鉄の剣?

これは全く問題無し。

つか、問題がある方がおかしい。

だって、普通の鉄の剣だぜ?何の変哲もない鉄の剣だぜ?ファンタジーの定番の鉄の剣だぜ?何の問題があるってんだ。

そっちよりも問題なのが、無限鎖球だ。

球の大きさはバスケットボール大。ただし、表面に棘が無数に付いている。

そして、球には10cm程の鎖が付いており、その鎖の先は掌に装着するのか、ベルトになっている。

持った感じそこまで重いとは感じない。

それこそバスケットボール程の重さでは無いだろうか。


「モーニングスターの棒無し版?無限の鎖じゃないのか?それよりも、俺が使い熟せるのか?」


しかしまあ、出た物は仕方がない。

それに、どうにかして家に帰る方法も見つけないといけない。

鑑定の結果は


無限鎖球むげんさきゅう

使用者には軽いが敵に投げつけると重くなる重量可変武器。手元の鎖は使用者の意識で伸び縮みする。材質はペラリオ隕鉄。ミスリルでも斬れない。


何と言う都合の良い武器なんでしょ!

つか、ペラリオ隕鉄が分からんし。

まあいい。鉄剣よりは強い武器と言う事だろう。


「んで・・・一番の問題はコイツか。」


そう、召喚の指輪だ。

まず、どうやって使うのかが分からない。次に何が召喚されるのかがわからない。

もし召喚して変なのが出て来たら、間違いなく俺は殺されるだろう。

とりあえず鑑定で。


・召喚の指輪

従者を召喚出来る。使用したい場合は、指輪を嵌めて念じるだけ。


「とりあえず今はいいか。また後で使ってみよう。」


俺は召喚の指輪を左手の中指に嵌めた。

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