トイレから始まる異世界からの挑戦状!〜1000億貯めるまで帰れません!〜

うちのワ

第1話 まさかのトイレから!?

俺の名前は、東條拓哉。

某私立高校に通う高校3年生だ。

部活はやってないが、小さい頃から剣道をやってる。

一応これでも段位持ちだ。

今日も学校が終わると、剣道の練習がある。

俺は竹刀と防具を肩に担ぎ、鞄を持って玄関に立つ。


さて行くか!


そう思った時だ。

急に差込む腹の痛み。

ヤ、ヤバい・・・これ、ヤバいヤツだ。

俺は慌てて荷物を放り、靴を脱ぎ、トイレに駆け込む。

扉を開けて、トイレのスリッパを履こうと足を入れた瞬間!


「えっ?」


突然の浮遊感。

俺はトイレの床を踏み抜き落下した。

地に足が付いてないと言うのはこう言う事のだろう。

恐怖で目を瞑り身体が落下して行く中、ふと気付けば足に堅い感触が。

恐る恐る目を開けると、俺は草原に立っていた。


「はい?」


俺はその光景にフリーズする。

腹が痛いのも忘れ、フリーズした。

そして思い出す。


「腹いてぇ!」


大をしたいが、周りは見渡す限りの草原だ。

トイレなんて無い。

俺はゴロゴロと鳴る腹を押さえて、トイレ探す。


あ・・・無理。もう無理!


我慢の限界に達した俺は、その場で用を足す。

紙が無いので、そこら辺の草を千切り使用したが・・・ケツ痛かった。


腹具合も治り少し落ち着く。

流石に用を足した場は何なので、場所を変えてから現状に付いて考える。


「ここ何処だ?」


周りは見渡す限りの草原。

当たり前だが、トイレのドアが無い。


「もしかして、うちのトイレのドアって、どこで〇〇アだったとか?」


国民的アニメの青いタヌキを思い出す。

しかし


「それなら、ピンクのドアが無いとおかしいか。」


そんな物は何処にも無い。

※ちなみに、家のトイレのドアはピンクでは無い。


「持ち物は、スマホにシャーペン、学生手帳、財布、時計、ハンカチ、あっ!ポケットティッシュ・・・これでケツ拭けたのに・・・。」


俺はポケットテッシュを見て、正に_| ̄|○ の状態になった。

草、めちゃくちゃ痛かったのに。


気を取り直して、スマホを開く。

ちなみに、俺のスマホはiPON12だ!

周りのツレはまだiPON9の中、お年玉を貯め、足らない所を親に出して貰い買った最新式のヤツだ。


「やっぱり圏外か。ん?これ何だ?」


俺は、スマホの画面に見た事のないアプリが入っているのに気付く。


「魔石換金アプリ?後、魔石換金ガチャアプリ?何だこれ?」


俺は魔石換金アプリを開く。

アプリ画面は簡素で、画面一番上に0円。その下に0Gと表示されており、画面真ん中にはデカデカと黒い四角がある。そして、その四角の部分の横に「ここに魔石を触れて下さい。」と表示が。

そして一番下にはログが表示されるのか、メッセージウィンドの様な物が。


「意味がわからん。」


俺は首を傾げながら魔石換金アプリを閉じ、次に魔石換金ガチャを開く。

画面はデカデカとそれこそ昔ながらのガチャマシーンがある。

しかし、違いがあるとすればお金を入れる場所の描写は無く、代わりに一番上には「0G」その下に「装備・アイテムガチャ」と書いてある。そして、スマホ画面の真ん中の右側に▶︎ボタンがあるが、今は使えないみたいだ。


「何だよこれ。」


そして画面一番下には、「1日1回無料」と「初回無料11連」の文字が。


「とりあえず、引いてみればいいのか?」


俺は1日1回無料の方を押す。

すると、ガチャマシーンが踊り出し、中のカプセルが飛び跳ね、ガチャマシーンが止まり排出口からカプセルが飛び出す。

すると画面が切り替わりメッセージが出る。


「N銅の短剣をゲット!」


ショボっ!

そしてメッセージには、「ストレージに銅の短剣が入りました。」と表示される。


「えっ?はぁ?」


俺は何が何やらわからなかった。

ストレージ?

そんなん何処にあんだよ!

ポケットの中にも、服の中にも何処にも無い。


「クソっ!何なんだこのクソアプリは!どこにもそんな表示がねえじゃ無いか!」


俺はイラつきそう叫ぶ。

その時だ。

俺の後の方でガサッと音がする。

猫か犬でも居るのか?そう思い、後を振り返える。

すると、そこには頭はチョロチョロっと産毛みたいなのが生えた坊主頭で耳は長く、口は耳の方まで裂けその口からは尖った歯が。服は着ておらず、腰に汚らしい布を巻き、手には木を削って作った様な棒を持った身長140cm程の緑色の生き物が立っている。

そしてそいつは、俺が用を足した場所に屈み、匂いを嗅いでいる。

いやん。

そしてそいつと目が合う。

ニヤリと笑う。


俺こいつ知ってるわ!

ラノベに良く出てくるヤツだ!

それを思い出した瞬間、ソイツは俺に向かって襲い掛かって来た!


俺は必死に逃げる。

後ろを振り返れば、緑色のヤツが追って来ている。

間違いない、コイツはゴブリンだ!


俺は、どうにかして逃げようと必死に走る。

しかし、不運は続くもので、足元を見ていなかった俺は石に爪突きコケてしまう。

直ぐに体制を変え、ゴブリンの方を確認する。

ゴブリンは、俺がコケたのを見てニヤニヤ笑いながら近付いて来る。


(クソ、さっきの銅の短剣でも有れば!)


どうにかして逃れれないかとポケットを探る。

しかし、あるのは学生証とシャーペン、スマホ、ハンカチ、ティッシュのみ。

その間にもゴブリンは俺に迫って来る。


「ストレージってどこだよ!」


思わず叫んだ。

すると、俺の目の前に、横5列、縦10列の枠が現れる。そして、その左上にはさっきの銅の短剣が。


ゴブリンはその声に興奮したのか、俺に飛び掛かって来る。


俺は、短剣出ろ出ろと呟く。

すると、俺の右手に銅の短剣が現れる。


「出た!クソっ!」


俺は咄嗟に短剣を前に突き出す!


ブスッ


短剣はゴブリンの喉へと突き刺さり、口からゴボゴボと緑色の液体が流れる。

俺の手に緑の液体が付着する。汚ねぇ!

俺は直ぐに短剣を引き後退る。

ゴブリンはその場に倒れ込みピクッピクッと痙攣を始める。

そして、暫くすると動かなくなった。


「た、助かった・・・のか?」


俺は、緑色の液体の付いた短剣を見る。


「俺がヤったのか・・・?」


俺は短剣を落とす。

そして、右の掌を見る。

緑の液体の付いた手が震えていた。

いや、身体が震えていた。


魚くらいは締めて捌いた事はある。

だが、生物を。人間と同様の二足歩行の生き物を殺してしまった。

その事実に、俺の身体は震えていた。


暫くその場で佇んでいたが、このままここに居ても仕方がない。

俺は気持ちが落ち着くと、その場から立ち上がる。


「ラノベ通りなら、魔石って胸の部分にあるんだよな?」


魔石換金と魔石換金ガチャの事を思い出し、俺は「うへぇ〜」と言いながらゴブリンをひっくり返し胸に短剣を突き立てる。

なるべく見ない様にしながら、胸をグリグリすると赤い色の石がコロンっと出てくる。

スマホ画面から魔石換金アプリを開き、汚い物でも摘む様にゴブリンの胸から出た石を取り、メチャクチャ嫌だけどその石を黒く四角い場所へと当てる。

すると赤い石はスッと画面に消え、「チャリーン」と言う音と共にメッセージが表示される。


「ゴブリンの魔石一つ15G。円に換金しますか?YES/NO」


俺はNOを押す。

多分俺の考えが正しければ、今はこっちを選ばないとこの後困るからだ。

そして、上部0Gの部分が15Gに変わり、メッセージが出る。


「15Gはストレージへと入りました。」


「そんなんどうでもいい。とりあえずこの場から離れて、早く無料11連引こう。」


俺はストレージを確認するのを後回しにし、ハンカチで手を拭いた後その場を離れ距離を取る為歩き出す。

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