30話 洞窟
部屋まで送ってもらった彰。
「なにしてんだよ?俺...」
八重樫に不意に抱きついてしまったことに申し訳なさを覚えていた。
メッセージを送ろうとするも、なんと送ればいいのかわからず、スマホを握ったままベッドで横になっていた。
すると、少し経ってから、八重樫のほうから先にメッセージが来た。
八重樫:お疲れ様。今日は花火大楽しかったわ!足はちゃんと処置しておいたからもう大丈夫よ。迷惑かけて申し訳なかったけど、助けてくれてありがとう。またお礼させて。あと、最後のあれは気にしないでいいわよ。なんかあったらまた連絡してちょうだい。じゃあまた月曜日に仕事で!
八重樫さんにまた気を遣わせちゃった...
彰は気まずさをかかえたまま、返信することなく寝てしまった。
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一方の八重樫は、足をけがしてしまったことや、彰に辛い思いをさせる質問を無神経にしてしまったことから、迷惑をかけてしまったと思い落ち込んでいた。
また、彰は私のことは恋愛対象として見ていないと気づき、悲しくなった。
勝手に期待していただけ、そう何度も言い聞かせるが、それを消化しきれない自分がいた。
だが、こうしていても埒が明かないと思い、とりあえず彰にメッセージを送った。
メッセージを送っても、一向に返信が来ない。
私、嫌われちゃったかな...
八重樫はベッドの上でお気に入りのクマのぬいぐるみを抱きながら涙をぽろぽろ流し、気づいた頃には眠りについていた。
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花火大会が土曜日だったので、今日はオフである。
彰は結局10:30に目を覚ました。
目覚めてからも、八重樫への気まずさは変わらず、返信を送れずにいる。
気まずさはあるものの、彰はこの日、気づいたら八重樫のことばかり考えていた。
頭の中から八重樫のことが離れない。
なんだこの感じ...
もしかして俺は八重樫さんのことが好きなのか?
でも、たった一人の大切な人を守れなかった自分が、人を好きになっていいのか?
様々な葛藤に押しつぶされそうになった彰は、この日は早めに寝るための準備をし、早々にベッドにこもった。
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日曜日になっても、彰から連絡がこないため、八重樫は自分が彰に嫌われてしまったとより強く思うようになってしまった。
結局その日は、彰から連絡は来なかった。
彰から連絡が来なかったことで、八重樫も彰に対して、気まずさが生じてしまった。
会社で会ったとき、どんな顔をすればいいんだろう?
彰は私のこと嫌いなのかな?
八重樫は八重樫で、頭を悩ませながら眠りにつき、せっかくの休日をこのように終わらせてしまった。
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