26話 花火大会①
あれから、八重樫とのわだかまりも解け、仕事も順調に進み、7/24を迎えた。
そう、7/24は花火大会の日である。
彰と八重樫は15:30にアパートの前に集合することにしていた。
彰が5分前に1階に降りて待っていると、エレベーターから、浴衣をまとった八重樫が出てきた。
「お疲れっす、八重樫さん!浴衣めっちゃ似合ってますね!」
「お疲れ、山城君。褒められるとなんか恥ずかしいわ...」
八重樫は顔を少し赤くしながら彰にそう言った。
「ほら、じろじろ見てないで行くわよ。」
「あっ、はい!」
こうして二人は花火大会の会場である足立区の荒川河川敷へ向かった。
電車の中では、八重樫は久しぶりに花火大会に行くということで、とてもワクワクした様子を見せていた。
「私今日は、焼きそばと、わたがしと、アイスと、チョコバナナ食べたいわ!」
「そんなに食べておなか壊しませんか?」
「大丈夫よこれくらい。」
「ならいいんですけど...」
こんな会話が道中ずっと続いていた。
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一方、本田と笠原の二人も、本田が笠原をアパートまで迎えに行くことで合流した。
笠原も、八重樫と同様に、浴衣姿でアパートから出てきた。
それを見た本田は、
「笠原ちゃんおはよ~!浴衣姿かわいいね~。」
「本田さんおはようございます~。この浴衣今回に合わせて買ったんですよ~」
「おぉー!いいね!!」
「かわいいって言ってもらえてうれしいです~。」
「よし、じゃああのお二人さんと合流するか!」
そして、こちらの二人組も、荒川河川敷に向けて歩みを進めた。
その道中、本田は持ち前のコミュ力で笠原を終始笑わせていた。
17:00
ついに、4人が合流した。
4人が合流した頃には、河川敷には、出店がすでに並んでおり、お祭りは始まっているように見えた。
八重樫が子供のようにはしゃぎ、出店に向かおうとしたので、彰がまずは場所取りからと説得し、拗ねた顔をしながら八重樫はそれに同意した。
19:00開始の花火大会のはずなのだが河川敷はすでにたくさんの人で埋め尽くされていた。少し歩いていると、ちょうど4人が座れそうないいポジションがあったので、そこにビニールシートを引いて場所をとった。
ようやく場所取りができたので、八重樫のわがままを聞くために、4人は2人組にわかれて別行動をとることにし、18:40にはシートの位置に戻るように約束した。
彰と八重樫はまず、焼きそば屋へ行き、その後わたがし屋、チョコバナナ屋と順に回り、屋台の食べ物を満喫した。
そして、八重樫がどうしてもやりたいと言うので、金魚すくいをやることになった。
八重樫は一度挑戦するが、ぽいはすぐに破れ、あっけなく終了した。
彰は、簡単に一匹捕まえてみせた。
「こうやってやれば簡単にとれますよ!」
と八重樫に説明すると、負けず嫌いの八重樫はもう一度挑戦し、みごとに一匹捕まえることができた。
「やったわ!山城君!!」
「良かったですね!」
「この赤い金魚アパートで飼うわ!」
「僕飼えないんで良かったら僕のも...」
「いいわよ!」
「名前とかつけるんすか?」
「そうね、名前はサンとジョーにしようかしら?」
「サンとジョー?またなんでそんな外人みたいな名前を(笑)」
「いいのよ別に。私の勝手でしょ?」
「まぁそうですね(笑)。」
彰は普段とは対極で無邪気にはしゃぐ八重樫を見て、素直にかわいいと思った。
少しずつ空は暗くなり始め、屋台の灯りが照らす浴衣姿の八重樫はさらにかわいさを引き立てていた。
空が暗くなるのと同時に、人混みはさらに増していった。
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