17話 信頼
「ちょ、ちょとあんた冗談きついわよ。」
「いや、冗談じゃないんですよそれが...」
そういって、彰は異世界転生した経緯を八重樫に事細かく話した。
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話し終えると、八重樫は混乱した様子で、
「あなたが通り魔に遭ったこととか知らなかったわ。あと、刺された後に異世界転生した話、ラノベとかのテンプレみたいだけど、そこまでクリアに経験を語れるのだから、嘘とは言い切れないわね... 本当に世の中には、まだまだ未知なことに溢れてるものね。」
お冷やの入ったコップを
間違いなく一番混乱しているのは彼女である。
「すいません八重樫さん。でも、八重樫さんには話しておきたくて...」
「大丈夫よ。山城君の話聞いていくつか納得したことがあるわ。まず、どうして今回の企画が異世界転生ものだったのか。それに、企画書が妙にリアルだったこと。あと、痴漢から救ってくれたときのなんたら・セイバーのことも。(笑)」
八重樫のこの言葉で、彰の心に見えないなにかがグサッと刺さった。
そして同時に、八重樫の勘の良さに彰は感心するのであった。
「山城君、私のこと信頼してくれてありがと。」
「いえ、こちらこそ、僕の話を信じてくれてありがとうございます。」
先ほどまで、混乱した様子を見せていた八重樫だったが、今は笑っているので彰は少しホッとした。
こうして、八重樫美咲は、山城彰の秘密を唯一、共有する仲間となったのであった。
焼き肉を食べ終え、時刻は13:30。
「ごちそうさまでした八重樫さん。」
「いいのよ、今回は。」
「ありがとうございます!」
「今日はこのあと予定あるの?」
「いえ、帰ってもゴロゴロしてるだけっすね(笑)」
「あんたね... ディレクターなんだから少しは責任持ちなさいよ?」
「あ、はい...」
「ってまぁ休めるときにしっかり休んでおいた方がいいわ。このあとどこも行くところないなら、私に付き合いなさい。」
恥ずかしそうにそう言う八重樫はやはりかわいい。
「あ、はい。わかりました。どこ行くんですか?」
「えー、どうしようかしら。見たいアニメ映画もあるし、おいしいデザートも食べたいし、カラオケも行きたいし...」
「あー、映画は今日はなしにしてください、僕まだそのアニメ見てる途中なんですよ。(笑)じゃあ、デザート食べに行って、そのあとカラオケ行きますか?」
「いいわね。そうしましょ。」
そして二人は東京では有名なアイスクリーム屋でアイスを食べ、カラオケボックスに行くのであった。
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