11話 結果発表
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ピピッ、ピピッ、ピピッ、
彰は、いつも通りの聞き慣れた電子音に起こされる。
一度目覚まし時計を叩き、止めて布団にこもる。
5分後に、スヌーズでもう一度鬱陶しい電子音が部屋中に響き渡る。
その音に無性にいらついた彰は、思いきり目覚まし時計を叩くと、目覚まし時計はガタッと傾き、床に落ちた。
電子音が止まった後に、ガシャンという音が部屋を一瞬で支配した。
さすがの彰も、その音にびっくりし、布団から出て起き上がる。
起き上がった彰が足下に目をやると、目覚まし時計は無残にも壊れていた。
「最悪だ...」
目覚まし時計の硝子の部分が割れていたので、ベランダに置いてあった枯れ葉を片付けるための
そのあとすぐにスマホの時計を確認する。
7:20であることを確認し、買ってあった菓子パンを食べ、ゆっくりと身支度をした。支度を済ませたあとは、スマホのネットニュースを漁った。
この日は特に早出出勤をする必要もなかったため、9:00に会社に着けば良かったのでそこまで急ぐ必要はなかった。
8:15になり、部屋に鍵をかけ出勤する。
外に出て上を見上げると、青々とした快晴であることがうかがえた。
天気はやはりモチベーションに影響を与えるのだろうか?
彰は少し気分を上げながら、神田駅まで歩いた。
改札をくぐり、電車に乗る。
昨日のことを思い出しながら、乗り換えも含め、長四角に揺られること30分。
護国寺駅に到着したので、下車し改札をくぐった。
駅から会社まで徒歩1分で着くことが本当に楽なのである。
オフィスに到着し、社員証をかざしロックを解除し中へ入っていく。
タイムカードを押し、出社完了。
自分の席に向かうと、八重樫はすでに出社していた。
「おはようございます八重樫さん。」
「おはよ山城君。」
「早いですね。」
「昨日の投票結果の集計してたの。」
「そうだったんですね。」
「今日の朝の朝礼後に発表するから楽しみにしておくのよ。」
八重樫はなにかとうれしそうに彰にそう伝えた。
彰はなぜ八重樫がそこまでうれしそうだったのかわからなかったが、とりあえず
「はい...楽しみにしておきます。」
とだけ答えておいた。
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9:00になり、いつも通り朝礼が始まる。
一通り連絡事項が伝えられ、全体での朝礼が終わると、グループごとの朝のミーティングへと移っていく。
ついに企画の発表の時が来た。
「みんなおはよう。昨日はお疲れ様。みんな本当にいい企画だったわ。じゃあ、今から昨日の投票結果を発表していくわね。」
メンバーの間に一気に緊張感が広がっていく。
少し間を空けて八重樫が口を開く。
「今回、選ばれた企画は...
山城君の企画よ。」
「えっ...俺のっすか?!」
「そうよ。おめでとう山城君。」
八重樫は笑顔で彰を見つめている。
周りのメンバーも皆そろって拍手し、彰を祝福する。
「じゃあ山城君、前に出てきて一言挨拶して。」
「はい。えーっと、みなさん、今回は僕の企画を選んでくれてありがとうございます。ここからKEPTを盛り上げていけるようにもっと頑張っていくので、みなさんの力を貸してください!よろしくお願いします!」
(パチパチパチパチ)
オフィス内に拍手の音が広がった。
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少しして落ち着いてから、彰は八重樫に話しかけに行った。
「あの、八重樫さん、ほんとうに選ばれたのって僕の企画だったんですか?」
「何言ってるの?(笑)今回のプレゼン見て正直あなたの企画しかないと思ってたわ。」
「ほんとですか?でも、八重樫さんの企画だってめっちゃ良かったですし、プレゼンの質も圧倒的に...」
「私は企画を面白そうに見せるのがうまいだけよ。今回のあなたの企画は誰よりも熱量が高く、なにより、この企画をゲームにしたいっていう気持ちが1番伝わってきたわ。そこがみんなの気持ちを動かしたんじゃないの。あんたが思っている以上にみんなあんたの企画に引き込まれていたわ。」
「そこまで言われると恥ずかしいですけど、うれしいです。ここから頑張るんで八重樫さんもよろしくお願いします。」
「もちろんだわ。がんばりましょう。早速だけど、今回のチームメンバーのチーム分け頼んでもいいかしら?」
「了解しました。」
ゲーム制作には、企画班、グラフィックチーム(背景班、キャラ班、モーション班、エフェクト班)、プログラマー班の三つによって構成されている。それに加えて、ゲームが少しずつ形になってくると、デバック班が追加されるがこの班はバイトを雇うことが多い。
この人事を決めるのも今回企画に選ばれた彰の責任になるそうだ。
デスクに戻り、メンバー構成に頭を悩ませるのであった。
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