7話 僕のいなかった3年間
12:00、昼休憩の時間だ。
彰は本田と、松田さんと昼食をとる。
彰はレジ袋の中から、おにぎり二つとカップ麺を取り出す。
カップ麺にお湯を入れ、準備を済ませたところで、おにぎりを食べはじめる。
おにぎりは決まっていつも鮭とおかか。
おにぎりを食べ始めたタイミングで本田がまず口を開く。
「俺の企画なにがダメだったんだ?」
真剣な顔して彰に投げかける。
「いや、まぁさすがにね...」
「どんな企画だったんだ?」
松田さんは本田に問いかける。
すると本田は先ほどのプレゼンの内容を語り出すが、さすがの松田さんも、
「もうここまででいいよ(笑)」
と暴走する本田を止めた。
会話が一旦止まったタイミングで、彰は自分の記憶がない期間について探ることのできるチャンスだと思い、本田と松田さんにいくつかの質問を投げかける。
「そういえば、八重樫さんってどこの部署から来たんでしたっけ?」
「覚えてないんか?八重樫さんと言えば内の会社の大阪オフィスのエース社員じゃん。」
「あ、そうだったな。」
松田さんが続いて口を挟む。
「八重樫って確か2年前に大阪オフィスが企画して爆売れした“ビースト・タイム”ってゲーム出したときの責任者じゃないか?」
「そういえばそうっすね松田さん。」
「本田、ちょっと笠原さんについて教えてくれない?」
「お前、去年一緒にゲーム作ってたじゃないか。」
「え、あ、まぁ、一緒にゲーム作ってたけど特にそんな話したこともなくて。」
「なになに~、彰、お前笠原ちゃんのこと狙ってんの?(笑)」
「別にそういうのじゃねーよ。」
「じゃあ何だよ?(笑)」
「まぁいいや。」
その後も昼食中に会話を続け、様々な情報を探った。
記憶のない3年間の間にゲームを3本作ったことや、笠原さんの本名が笠原
芸大出身ということを聞き、午前に見た彼女のプレゼンの挿絵がなぜあそこまで高クオリティであったのか理解した。
すべての情報ではないものの、彰は自分がいなかった3年間のことを約1時間にまとめて聞き、なにが起こっていたのか、ある程度は頭の中で整理することができた。
これだけ濃い1時間を過ごしたのは初めてだろう。
夢中になって話を聞いていた彰に、松田さんが
「そろそろ休憩終わるぞ。」と言った。
その声とともに、3人は解散し、それぞれのデスクへと戻っていった。
・・・
・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます