5話 出勤③
自分が救った女性が八重樫美咲であったことを知った彰。
彰が電話の声から想像していた八重樫美咲の人物像と実物とはかなり異なっていた。八重樫美咲は、すらっとした体系からクールなオーラを放っており、そこは電話の声からのイメージ通りであった。
しかし、以外にも、目はぱっちりとしていてかわいらしく、整った顔をしていた。
彰は、この人が同僚だと思うと少しうれしくなっていた。
「お、おはようございます八重樫さん。けがとかないですか?」
「山城君おはよう... あ、あの助けてくれてありがとう...」
頬を赤らめ、今にも泣き出しそうな顔でそう言った八重樫美咲の表情は昨晩の電話からは想像できないものであり、すごくかわいかった。
「でもね、山城君、あんた傘振りかざしたとき、ライトニングなんちゃら~って言ってたわよね?」
「あれだけは絶妙にダサかったわよ。」
それを言われた彰はようやく、この世界がついこの前までいたあの異世界ではないことを思い出させられた。
途端に、彰の顔はみるみる赤くなっていき、最終的には男梅と判別が着かないほどにまでなった。
そんな彰の表情を見て、八重樫は徐々に笑顔を取り戻していく。
「あんたって意外と正義感強いのね。」
「あんな風に必死に追っかけて痴漢犯を捕まえるタイプじゃないと思ってたわ。」
「まぁ、たしかにそうかもしれないですね。」
「でも、本当にありがとう。少し怖かったから...」
感謝されて鼻を伸ばしていると、八重樫に頭を軽く叩かれ、
「ニヤニヤするな変態。」
と痴漢魔でもない彰が罵られた。
そんなこんなで警察が到着し、彰と八重樫は、事情聴取に答えた。
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トラブルに見舞われながらも、8:30には会社に着くことができた。
会社に着くと、八重樫は通勤中なにもなかったかのようにデスクにつき、企画書を見直し始める。
その光景を見て彰も慌ててデスクに向かい、鞄の中からPCを出し、企画書の誤字脱字を訂正していく。
彰は、プレゼンの資料はすでに完成していたので、話す内容を始業までの30分で詰めていった。
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9:00になり、全体での朝礼が始まる。
いつものように、各プロジェクトのリーダーたちが今日の事業内容を共有していく。
もちろん、彰たちのグループは企画の発表会である。
全体での朝礼が終わると、各グループごと集まって軽くミーティングを行う。
グループごと集合すると、八重樫が、
「10:00から一人目のプレゼンを開始するわ。各自最後にもう一度調整しておいて。」
「それと、プレゼンの順番だけど、あみだくじ作ったから早いもの順で私のデスクの上にあるから、名前書いておいてね。」
そう言われ、みんな八重樫のデスクに向かい名前を記入していく。
彰は特に順番を気にしないので、一番最後に余っているところへ名前を記入した。
「じゃあ9:50にプレゼンの順番発表するから各自解散!」
その呼びかけとともに、メンバーは各々デスクに戻り最終調整へと入っていった。
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