第2話
赤い赤い冬。
鮭の赤?
そうだね。
私は言った。
でも誰も覚えて居ない。
貴方は死にそうになっていた。
血を流して、倒れていた。
でも、どこか美しく見えて。手を出してしてしまった。
そうだね。今、手を繋いでいるのは。
貴方は温かい。それはこの上ない柔らかさ。
鮭は故郷に戻る。だけど人間は、神はどうだろう?
帰る所なんてあるのでしょうか?
「管理者が居るのであれば、どうか彼を助けてやってください」
願う。
でもその言葉が届いている保証など何処にもない。
人は死ぬ。でもそれは状態が変化しただけ。
悲しくない。悲しくなんてない。
海水が流れ出す。
でも、それは甘い。
幸せの味。
温かい。でも心を埋めるパテとしては少なすぎる。
空を飛んだ。
彼はキスする。
温かい。
柔らかい。
幸せだ。
抱きしめられる。
嬉しい。
誰かが幸せだと唄う。
私は悲しみ嘆き唄う。
希望を抱いた小鳥。
絶望を覚えた人間。
比べる事が正しいのか?
いいえ。違う。
ここは布団の中。
温かく体温を感じる。
唄えなくなった。
キスをした。
温かい。
彼を味わう。
彼の胸に手を置く。
脈打つ。
大きく広い。
「私が守るから」
そう囁く私。
でも保証は出来ない。
最後の無い始まりなど無い。
でも無限に続く時の中で貴方は。
私を抱きしめた。
いいの?
私で良いの?
悲しいよ。
さよなら私。
これで最後。
貴方色に染まった私。
また空もその色をしていた。
空に流れ星が流れる。
まるで諦めるように。
〜第一章〜
目が覚めた。
冷え切った体を起こして階段を降りる。
でも、その足に踏みしめる感覚があった。
朝ごはん。ただの穀物に発酵物を溶いた汁。
美味しいわけがない。
よっぽど。自分の方が、、、、、、
でも食べるしかない。死んでしまう。
死ぬってなんだろう。
電車に揺れる。
でも音は聞こえない。
制服で身を包んだ私は、俯いたまま端末を見ていた。
今流行の、動画投稿サイト。
何が面白いのか理解に苦しむ。
でも、見ていて苦しく無い。
不意に、ディスプレイに婚姻届と指輪を付けた薬指が映し出された。
不快だ。
吐き気がする。
その風景を悪くは無いとは思う。
でも潰したい。幸せの姿を潰したい。
どうせ人間なんて裏切る生き物だ。
離婚するのがオチだろう。
風景を見る。
窓の外。
そこには山があった。
ただそびえ立つその、姿に圧巻する。
さて。駅だ。
歩みを進める。
その道はいつもどおりの道。
至って変化はない。
席に座る。
そうだ、今日は小テストか。
でもどうでもいい。
その用紙を見つめる。
文字は踊っている。
ペンを回す。
ペンが落ちる。
カラカラ。そんな、空気の鳴き方。
でも拾おうとはしない。
面倒くさい。
ゆっくりでいい。
そうゆっくりでいい。
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