第4話 賢斗、高校2年生

 マルマルモリモリと子供たちが踊るダンスが人気を博する2011年。

 俺は、家に遊びに来た学校で1番かわいい沢田さわだ羽衣ういを自分の部屋のベッドに押し倒した。


「ちょっ……やめて賢斗くん、私賢斗くんが3DSを持ってるって言うから遊びに来ただけだよ!」

「やめない。男の家にひとりで来るなんて、それもうOKってことだからね?」

「ちっ……違うよ! 私、そんなつもりは」

「イヤなの? 俺が嫌いならそう言って」

「え……そんな悲しい目で見られちゃうと……」

「俺のこと、嫌いなの?」

「ちがっ……嫌いじゃないよ!」

「俺のこと、好き?」

「う……うん……」


 あー、かわいい。羽衣ちゃんは高校生とは思えぬほどにうぶで奥手で超かわいい。

 真っ赤になって目を伏せると、長いまつ毛の影が色白の肌に落ちる。背が低くて華奢なのもいい。

「羽衣ちゃん、俺ね、羽衣ちゃんのことすげー大事に思っ――」


「いいかげんにしろよ! 詩愛羅しあら!」

「あら、またとてつもなくタイミングが悪いんじゃないかしら。ふーん、賢ちゃんも仲のいい女の子がいるのね。きらりと同じで」

「だから! ただの友達だって言ってるだろーが!」

「だから、仲のいい女の子って言ってるだけじゃないの。何を勘違いしてるの? 輝は」

「勘違いしてるのは詩愛羅だろ!」


「なんでおまえら人ん家にタイムトラベルかましてんだよ!」

「どうやら、この時代のチェックポイントが賢坊に定まったみたいでさ」

「私たち、この時代に来たら毎回賢ちゃんと会ってるからでしょうね」


「おっ、お邪魔しました!」

「あ! 羽衣ちゃん!」

 止める間もなく、羽衣ちゃんが部屋を出て行ってしまう。……こいつらー……。ここまで3か月かかってんだぞ、3か月。俺の3か月を返せ!


「ただの友達とハイタッチなんてすると思う? 賢ちゃん」

「するだろ! 友達なんだから!」

「輝には聞いてないわ」

「言わせろ! 俺は詩愛羅が思ってるような――」


「いちいちケンカしながら俺んとこに来んな! カップルのケンカなんか見せられてもこっちは何っもおもしろくねーんだよ!」

「カップルじゃない!」

「私たちは、ただの幼なじみよ、賢ちゃん」


「え……おまえら、まだ付き合ってねえの?」

「付き合ってない! 勝手に決めつけんな!」

「私たちが付き合ってると思ってたの? 早とちりね」


 輝はギャンギャンわめきながら、詩愛羅はクールフェイスを崩さぬまま、ふたりとも超真っ赤にほっぺを染めてらっしゃるんだけど。


 明らかに両思いだろ、おまえら!

 俺の邪魔ばっかしてねえで、おまえらさっさと付き合っちゃえよ!

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