第14話
その後どうなったかと言うと。
装置もPCも跡形もなく消失。メディアには、火災と発表された。
実際とは異なるが証拠が無い以上、火災と扱われた。
お陰でタイムリープが存在した証拠は全て消え去り、隼人は無罪放免となった。
隼人はノーベル賞ものだった発明を失ったが、代わりに平穏な暮らしを手に入れた。
俺たちは一緒に住むことにした。
隼人の研究が消失し、研究所も閉鎖され、責任を取って退職した。
絶賛就職活動中の隼人をサポートしたくて、俺が提案した。
隼人は今、人生初の時間の無駄遣いを楽しんでいる。
俺はと言うと、何年ぶりかにやる気をみなぎらせ、驚くべき変化を遂げた。
元来興味があってついた仕事だったので、やる気にさえなれば結果はおのずから付いてきた。次のゲームでは、プログラマーチームのチーフが決定している。これまでの分も取り戻す勢いで働いている。
二人で過ごす初めての夏がきた。俺達は揃って古里に帰省していた。
そして、今日は八月十一日。そう、六花の命日だ。
俺達は初めて二人並んで六花の墓の前に立っている。
俺は、六花を失って初めて六花の死に向かい合った気がした。
「これからは毎年二人で来ような。」
「ああ、啓介は今までの分までお参りしないとな。あの世で六花に怒られるぞ。」
俺は墓石に刻まれた六花の名前に手を沿わせ、呟いていた。
「ありがとう、六花。俺を助けてくれて。俺は幸せだ。」
肝心な、俺達といえば、まだ親友の枠からは出ていない。
でも俺は人生で初めて、一緒に時を刻みたいと思う人をみつけた。
この沿線状に恋愛感情が存在するなら、それはそれで良いだろう。
その答えはこれから二人で探していけば良い。
俺達にはまだまだ時間があるのだから。
交差する想い panda de pon @pandadepon
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