第9話 勘違いHappy
夕食の片付けを済ませ、リビングのソファに腰掛けてテレビを見ていると、ドアが開いた音がした。
俺はおつまみが置いてあるテーブルに手が伸びる。
すると、後ろから肩を叩かれた。
振り返って見てみると、怜が手を後ろに組みながらニヤニヤしている。
「ど、どうしたの?」
俺がそういうと、怜の後ろから紙袋が出てきて、俺に手渡してきた。
「これ、開けてみて」
「えっ…」
言われるがまま、渡された紙袋を開いて中を見てみる。
中にはラッピングされた小さな箱が入っていた。
箱を取り出し、周りのラッピングを剥ぐ。
箱の蓋を開けてみる。
中には赤紫色の小さな時計が入っていた。とても煌めいていて綺麗だ。しかしこの時計どっかで見たことがある気がする。
「く、くれるの?」
怜の顔を見た。
「うん、それ、私とお揃いだよ」
怜はそう言うと、左手を出して手首についている腕時計を見せてくれた。
あ、やっぱり怜ちゃんの時計、、ていうか、お、おそ、おそ、おそろ、、、い??
怜ちゃんからプレゼント、、しかもお揃いだなんて、、。俺、幸せすぎ、、る。
すると俺は理性をコントロール出来なくなり、立ち上がって怜を抱きしめた。
怜も俺の背中に手を回した。
「ありがとう、怜ちゃん」
俺が言うと、怜は背中を撫でてくれた。
しばらくなでなでされていたが、怜が口を開いた。
「いつになったら呼び捨てしてくれるの?」
呼び捨て、、、確かに怜ちゃんって言う言い方はお客様みたいな感じはする。
「あ、ありがとう、、れ、怜」
俺は声にならない声で言った。
「よく出来ました」
怜はそう言うと、背伸びして俺の頭を撫でた。
俺は視細胞に伝わった過剰な刺激で脳の思考回路がショートしたのか、知らぬうちに自分の唇が怜のものと合体していた。
すぐ我にかえったが、怜に触れているこの時間が幸せすぎて、恥ずかしいと言う思いがほぼなかった。怜はびっくりしているだろうが、俺はあえて彼女を見ないように目を閉じたまま続けた。
テレビの騒音と共に、耳慣れしない音がリビングに響く。
れ、怜ちゃ、、ん、、好きだ。
俺の手は怜の背中から後頭部に上昇した。
怜はそっと離れていった。
彼女の顔が真っ赤っかだ。
や、やべ、いくらなんでもやりすぎた、、。
後悔が襲ってきた。
慣れてないのに、、俺はすぐ調子に乗って、、。
謝ろうと口から言葉が出ようとした時、怜に腕を引っ張られた。
クモドロ にゃんちら @nyanchira
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