第8話 推しディナー
『簡単! じゃがいもクリームグラタン』である。
しゃぶしゃぶにグラタンと、和洋バラバラの献立だが、作りやすさには代えられない。
タマネギとじゃがいもを一口大にカットしておき、バターを溶かしておいたフライパンにタマネギを入れて、牛乳を入れた後にジャガイモを加え、さらに塩で味付けをしてみる。
塩というワードで今朝の事件が脳裏をよぎるが、これを入れないと味がしない。
やわらかくなるまで煮たら、オーブン用の耐熱皿に移す。
『ピピッ、ピピッ』
素晴らしいタイミングで予熱の終了を知らせるタイマーがなる。
最後にチーズをささッとのせ、オーブンに入れて15分タイマーをかける。
慣れた手つきでサラダを作り終えると、手を洗い、物置部屋に向かう。
まだ整理していないこの部屋は、引っ越しの段ボールやら宅配便のものやら高く積まれている。
ここからお目当てのものを探さなければならない。
段ボールの山をかき分け、見つけ出した。
少しお高めだったが、スーパーセールで安くなっていたのでポチってしまった鍋だ。
鍋を箱から取り出して、キッチンに持っていく。
軽く水を通して、コンロの上に置いておく。
これですべての調理が終了した。後は、怜を呼ぶだけだ。
そういえば帰宅してから怜の姿を見ていない。
おそらくパソコンでも触っているのだろう。彼女は無類のゲーム好きであるからな。
そーとパソコンのある部屋、というか俺の仕事部屋に向かう。
ドアの隙間から中をのぞいてみる。
中にはヘッドホンをして画面をにらみつけている怜の姿があった。ものすごいタイピング音が中から聞こえてくる。
そーと扉を開けてみる。
怜は相変わらず画面から目を離さない。
どうやら怜の大好きなFPSをしているようだ。というかめちゃくちゃ強いな。あんた。
キリのいいところで、怜の肩をポンッと叩いてみる。
怜が振り返ると、俺は「ごはんできたよ」とジェスチャーする。
怜がわかったような顔をしていたので、キッチンに戻る。
怜がリビングに入ってきた。
俺は出汁を鍋に注ぎ、火をつける。
「私もなんか手伝うよ」
と怜が言ってくれたので、グラタンを取り分けてもらった。
全ての準備を終えると、いい感じに出汁が煮立ってきた。
冷蔵庫からお肉を取り出す。
食卓の上にならべると、怜が「おお~」という顔をしている。
「今日はしゃぶしゃぶです、別でグラタンも作ったよ」
俺はどやっという顔をしてみる。
「ありがとう、食べてもいい???」
「どうぞどうぞ」
怜が食べ始めるのを見計らい、俺も食べてみる。
しゃぶしゃぶは俺の手がかかってないので、味が保証されているが、、、グラタンの方は・・うん、、グラタンもよく出来てる。良かった。
怜もおいしいを連呼しながら食べてくれた。
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