第7話 はりきり夕食準備
電話の相手は怜だ。
「お待たせ、用事済んだから、仁くんがよかったら帰ろう」
「うん、じゃあ帰ろう」
俺は先に駐車場に移動し、怜を待つ。
しばらく待っていると、怜は大きな荷物を両手に抱えながら現れた。
俺がすかさず荷物を持とうと、怜の近くに行くと、怜は「大丈夫」と言って手を離さない。
俺も「いや、持つよ」と言って怜の両手から荷物を受け取ろうとするが、怜は「本当に大丈夫」と言って離さない。
なす術もなく、ただ立ち尽くす俺に対し、怜はトランクに荷物を詰め込む。
ありゃ、俺、なんかしたのかな??
さっき店に行くとき、本当はついてきて欲しかったのだろうか、、、、。
いやでも、いくら彼氏でも女性モノの店についてこられるのは嫌だろうか。
本当に恋愛というか、女の子のことが全くわからない。
今まで本当に得意なこと以外はとことん逃げて生活してきたからな、、、
そのツケが回ってきたのだろうと思うほかなかった。
「仁くん、どうしたの??」
荷物を積み終わった怜がこちらに近づいてきて言った。
「い、いや、大丈夫、行こう…か」
切り替えや切り替え、、。
勝手に落ち込んでるやつほどめんどくさい事はない。
怜に「行こう」と合図すると、車を出した。
★★★
家に着いた。料理番である俺は、荷物を置くとすぐにキッチンに向かい夕飯の準備に取り掛かる。
時刻は17時前、と少しだけ早めの時間であるが、最高のクオリティをお届けするためには早めの準備は欠かせない。
というか、、朝のような失敗は二度と避けたいのだ。
今日のメインは怜の地元である鹿児島の国産牛、鹿児島牛を使用したしゃぶしゃぶである。
もちろんしゃぶしゃぶだけでは栄養バランスが偏ってしまい、世界一綺麗といっても過言ではない怜のお肌に悪影響を及ぼしてしまう。よって他の料理から栄養を摂取させねばならない。
献立は、海藻サラダと、怜の好物であるジャガイモを使った料理を考えている。
サラダは一人暮らしのころからよく作っていたので、後回しにしよう。
問題はジャガイモ料理である。こればかりは全く案が出てこない。
困ったときはすぐに最強レシピアプリ「クッキングママ」である。
「クッキングママ」という言葉が、料理をするのは女性だけだと言っているように解釈できてしまうので、パパも料理できるんだぞ、と開発元に言ってやりたいぐらいである。まあまだパパじゃないけど。
「馬鈴薯 定番 簡単」と検索してみる。
すると1000件以上の料理がヒットした。
この「クッキングママ」というアプリのいいところは、星の10段階評価で「作りやすさ、材料の安さ、調理時間の長短」などが一目でわかるようになっており、その使いやすさから、利用者数は爆増しており、最近のテレビCMはだいたいこのアプリだ。
最近は俺の収入も安定してきた上に、怜と同棲していることで「二人のお金」という制度が設けられたので、間違いなく下積み時代より生活水準がグレードアップした。よって材料費に関してはほとんど気にしなくてよくなったのである。
やはり初心者は難易度の高いものを避けたがる傾向がある。よって俺の注目は「作りやすさ」である。「調理時間」は早めの準備を行えば関係ない項目である。
作りやすさ部門堂々の第一位は・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます