第18話 目が覚めた
びっくりして目の前を見ると、いつの間にか部屋に入ってきたのか葉山が立っていた。
葉山はまるで鬼のような顔をして、俺を見ている。
「仁くん、いい加減にしな、、それが本心じゃ無いでしょ?」
葉山は語気を強めて言った。
葉山にそう言われ、俺ははっとした。怜を自分とは格が違う人間だと決めていたのは、俺の方じゃないか。
中身は同じ人間なのに。
今までの全ての言動が急に恥ずかしく思えてきた。
俺がぼーっとしてると、葉山が続けた。
「怜さんは、仁くんとの電話の事、ものすごい後悔して、仕事の合間を縫ってわざわざ事務所まで来て事情を話してくれたんだ、、仁くんに会いたいって、報道があったあの日からここ3日、毎日事務所に足を運んで仁くんのこと待ってたんだ、、流石に落ち込んでると思って2日は何も声かけずに放っておいたけど、ここまで来てまだそんなこと言うなら、もう俺は仁くんと一緒に仕事できない」
葉山が言った。
俺は葉山の言葉と、目の前で泣いている怜を見て、色んな思いが込み上げてきた。
「怜ちゃん、、ごめん」
俺がそう言うと、怜は首を横に振った。
自分のせいで怜ちゃんをこんな目に…
ここで俺が落ち込む必要はない、怜ちゃんを少しでも…
そう思った俺は、怜の方に近づき、優しく手を握った。
暖房がきいてて少し暑すぎるくらいの部屋なのに、怜の手はちっとも温かくない。
ああ、ごめんよ、、迷惑かけて…
怜の手を握る俺の手に力が入る。
すると次の瞬間、怜が抱きついてきた。
俺はびっくりしたが、そのまま抱き返してあげた。
怜とデートした時からさほどたっていないが、久しぶりに怜の温もりを感じたような気がした。
一気に緊張がほぐれた俺は、しばらくぎゅーっとしながら怜の頭を撫でてあげた。
「怜さん、この後、、ご予定は?」
俺がそう聞くと、怜が首を横に振った。
「ちょっと、外の空気、吸いに行きませんか?」
俺が言うと、怜が頷いた。
俺は葉山に今日入っていた予定を組み替えるようにお願いすると、葉山は快諾してくれた。
俺と怜は事務所を出た。
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