第7話 ギルドの登録
「ここが冒険者ギルドか……!」
そこは冒険者らしき人たちが出入りし、色々な人で賑わっていた。
身長が2m以上あり大剣を背負っている男や杖を持ってローブを羽織った女性、身軽そうな装備で気配の薄い男など。
まさに俺がイメージした冒険者達だった。
「遂に俺も冒険者になる時が来た……!」
屋敷にいた時から冒険者という職業に憧れに近い関心があった。
冒険者が主人公の英雄譚なんて何回読んだことか。
勿論冒険者になれば世界中を旅できる……なんて事を本気で思ってる訳では無いが、資金稼ぎや情報収集。
自身の戦闘による鍛錬などを考えたら冒険者が一番夢がある職業なのだ。
「それに冒険者になればいつかは……とにかく今は冒険者になる事だけに集中しよう!」
俺は意気揚々とギルドの中に入る。
中は想像通り冒険者で溢れ返り、この朝っぱらから酒を飲んでる人や依頼(?)が貼られている壁に集まっている人だかりや受付に並んで依頼を受けたり報酬を受け取ったりしている人が沢山いた。
冒険者登録をする受付を探したが、受付に種類のようなものが見当たらなかったので何となく受付の列に並ぶ。
十分ほど待っているとやっと俺の番になった。
「どうも、おはようございます!」
「あ、おはようございます」
「初めて見る方ですね?依頼ですか?それとも達成報告ですか?」
「えっと、冒険者登録はどこで……」
「あ、登録の方でしたか。では一番左側の受付へどうぞ〜。登録お願いしまーす!」
挨拶をされたので反射的に挨拶を返し、目的を伝えると登録は時間がかかるからか別の受付へ誘導される。
後ろで作業している人に頼んでいる様なので登録専用の受付は存在しないようだが、俺は言われた通り左側の受付へ向かう。
邪魔なので端に寄せられた感はあったが気にしない。
「初めまして。受付嬢の『リーフ』と言います。冒険者登録をしに来てくださってありがとうございます」
「俺はテルと言います。よろしく」
「はい、テルさんですね。では冒険者になる為に幾つか質問と説明、そしてちょっとした書類があります。お時間頂きますが大丈夫ですか?」
「ああ、今日は登録だけして帰ろうと思ってるから大丈夫だ」
やって来た受付嬢さんは名前通り緑色の髪の毛をした綺麗な女性で、優しそうな声で丁寧な喋り方だった。
因みに、俺の喋り方は少し意識して敬語をできるだけ使わないようにしている。
挨拶された時は不意打ちで少し丁寧になったが基本的に少し偉そう?な感じで話すつもりだ。
そうすれば舐められることは無いだろうという判断だ。
「では、一つ目行きます。『あなたが冒険者になろうと思った動機は何ですか』?」
「冒険者という職業に憧れがあったのもそうですが、資金集めや情報集めが冒険者が一番手に入りやすいと聞いたことがあったからだ」
「成程……では二つ目行きます」
それから数個程彼女に質問された。
『誰かから戦い方を学びましたか』とか、『モンスターについてどれ程知識を持っていますか』とか。
その質問にどれだけ意味があるか分からないが、適当なことを言ったり質問に答えないなんて事はせず、素直に質問を返し続けた。
「……はい、ありがとうございます。では冒険者の仕事に関する説明になります」
それから冒険者について説明される。その内容を簡単にまとめるとこうだ。
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・冒険者には強さを示すランクがあり、下から順に『黄・緑・青・赤・紫』がある。
・冒険者登録した時に貰える、自分が冒険者だと示す冒険者カードに記載されたポイントが一定値溜まるとランクが上がる。
・冒険者ギルドは冒険者が強くなるサポートをするが、それを無視した身分相応の依頼による損害や死傷に一切の責任を負わない。ギルドの管理不足による犯罪等は例外。
・ギルド内での戦闘はペナルティが発生する。
━━━━━━━━━━━━━━━
と、今覚えておくのはこの辺りらしい。
「では、最後に書類となります。氏名、種族、性別、出身、年齢等、もし書けない場合は書かなくても大丈夫ですが、明確な理由がない限りギルド側から信用が無いと判断されランク上昇の申請が通りずらくなることを覚悟してください」
「なるほど……分かった」
冒険者ランクが上がると、その分受ける依頼に掛かる命の数が増えて行くと言っても過言ではない。そんな依頼を信用がない人に任せられるわけないからだ。
俺は特に隠すことなく書類に個人情報を書く。
テル、人族、男、16歳、エルドリサ王国サンガシ領……ん?これは……。
「あ、もしかして紋章の鑑定をしたことがありませんか?」
「え?あ、ああ、まあ……」
紋章の鑑定とは、魔力でできた『鑑定書』という特殊な紙に魔力を流すことで自分の紋章の能力を文字で知ることが出来る魔法道具だ。
紋章の能力を使えるようになった瞬間、能力の使い方と簡易的な効果が分かる。
が、あくまで簡易的な効果がわかるだけで詳細はなんとなくでしか分からないのだ。
因みに俺は鑑定をしたことはある。しかし俺の場合、器持ちで初めて紙に何も書かれなかったのだ。
いや、今なら書かれるかも?
「まあ、紋章の能力は隠したい方も居るので正直書かなくても大丈夫です。ですが、能力は知っておいた方がいいと思いますので、教会に行くことをおすすめします!」
「……そうだな、この後行ってみる」
教会には鑑定ができる魔法道具が売られている。そこまで高くない筈なので宿屋の分は残るだろう。
その後書類を書き終わり、リーフさんに確認してもらう。
「はい。大丈夫ですね。手続きがあるので約1時間後にもう一度ギルドに来てください。その時に冒険者カードを渡しますね!」
「わかった。じゃあその間に教会に行ってみる」
「了解しました!あっ、教会はギルドを出て左側に向かうと教会っぽい建物がすぐ見つかると思います」
「ああ、ありがとう」
俺は感謝を告げてギルドを出て教会に向かう。
すると確かにほかの建物より一回り大きな建物を見つける。
木製でできた扉を開けると、中には男女数人が椅子に座り女神?の像に向かって祈りを捧げていた。
俺は近くを通りかかった神父に話しかけて確認してみる事にする。
「ちょっといいか?鑑定書ってどこで売ってるんだ?」
「鑑定書ですか?少しお待ちください。」
そう言うと神父は少し早歩きで教会の奥に入っていく。
待てと言われたので俺は椅子に座って女神像を眺めた。
申し訳ないが、神に対する信仰心は殆ど無い。何故なら今まで神から貰った紋章で辛い思いをしてきたのだ。信仰心がある方がおかしいだろう。
……まあ、今は少しだけ感謝しているが。
「お待たせしました。こちら鑑定書となります。銀貨一枚になりますが大丈夫ですか?」
「ああ、どうも」
「はい、受け取りました。使い方を説明しましょうか?」
「いや、知っているから大丈夫だ」
「そうでしたか。では、神の御加護があらんことを」
そう言って鑑定書を引き換えに銀貨を受け取った神父は奥に歩いていった。
俺は受け取った鑑定書に魔力を込めると、じわじわと鑑定書に文字が浮び上がる。
そこにはこう書かれていた。
━━━━━━━━━━━━━━━
名称『
能力『越解せし器』『印切り』
・『
・『越解せし器』一定の条件をこなす事で発動。発動すると器が一段階強化される。条件と強化先は複数あり、強化前の能力は引き継がれる。(残り五回)
・『印切り』紋章に直接干渉し、切ることが出来る能力。しかしこの紋章と同じランク以下の紋章しか切ることが出来ない。切られた紋章は一時的に全ての能力を失い、『紋章の器』は通常武器であっても破壊可能になる。
━━━━━━━━━━━━━━━
「……へ?」
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