第2話 謎の箱

 コンビニで買い物を終え、家へ帰る途中に奇妙な物を見つけた。

 それは、両手で軽々と持ち上げられる箱だった。

 誰かの落とし物かもと思い、名前などが書いてあるか箱を見てみる。

 箱と言ってもただの四角い箱ではない。

 長方形の鉄製なのか銀色のボディーで所々に、宝石か何かが埋め込まれているのか、街灯の光を浴びてキラキラと輝いて、銀色のボディーには、細かいところまで精巧な加工を施されていて、アンティーク調なデザインの模様が彫られている。

 見た印象は、昔のイギリスの貴族が持っていた宝石類を入れるために使っていそうなジュエリーボックスだった。

 鍵などはついておらずその代わりに、そんな高級そうな箱には、似合わない妙なものが張り付いていた。

 ピッタリとシールか何かなのか、それは、箱が開かないようにしっかりとくっついてて、何か文字が書いてあったが、見た事も無い文字で分からなくて読めなかった。

 観察を続けていると、奇妙なことに気が付く。

「……中から何か音が聞こえるぞ。」

 動かしてもいないのに、箱の中から何か音が鳴っていた。

 箱を耳元へ近づけ、注意深く聞いてみるとどういう訳か、何かパチパチと弾ける音が聞こえてくる。

 その不気味に聞こえる音は、一度何処かで聞いたことがあった気がして、考えていると、何処で聞いたか思い出した。

 小学生の時に、山へ家族でキャンプへ行った時に聞いた音に似ていた。

 だが、その場所で聞いた音が箱の中で聞こえるのは、とても妙なことだ。

「焚火の時に聞いた気が燃える音だ……。この箱の中から、何かが燃える音が聞こえてくる!」

 実に奇妙なことで聞こえてきたのは、何かが燃える音が聞こえてきた。

 触って気付いたが、気のせいか箱自体にはカイロのような温かさを感じた。

 だが、それはとても不自然なことだと思った。

「も、燃えているのか……このピッタリと隙間もなく閉まっている箱の中で……煙も出さないで……。」

 普通は、こんな密閉された箱の中で火が燃えたら、直ぐに酸素が足りず徐々に消えて行くはずだ。

 だが、どういう訳かこの箱の中の火は消えずにパチパチと音を立てている。

 だとしても、どうして箱の中で火が燃えているんだ。

 一体どういうわけなんだ……。

 し、知りたい!

 この箱の音の中身の正体を。

 本当に火が燃えているのか、見てみたい。

 そう思った俺は興味本位で、誰かの落とし物か分からない箱を拾い家に持ち帰った。


 ……………………

 …………

 ……


「この張り付いてる紙を、剥がしてっと……よし、剥がせた。」

家に帰り部屋に戻ると、直ぐに箱を開ける為、張り付いてる紙を取り除き、もうすぐに開く状態にした。

ゆっくり深呼吸をして、ゆっくりと箱を開く。

箱の中には赤い宝石があり、どういう原理化か分からないが、宝石から火が出て燃えていた。

「お前が、俺様の封印を解いたのか?」

注意深く観察していると、箱から声が聞こえ、その炎に目のようなものと炎の手のようなものが生えてきた。

そして、宝石から燃えている炎が話しかけてきた。

そう、この箱の中中身の炎は、ただの火ではなく悪魔だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

解呪するため俺は魔法少女の胸を揉まなければならないッ! 武者丸 @musyamaru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ