第4話 新ウイルス
※新ウイルス
動物たちを使ったジッケンも終わらないまま、政府たちは次のジッケンを始める。
その日。
ニュースでは、「原因不明の感染ウイルス発見!!」と言う見出しのニュースが流れている。
朝から晩まで、今度はこのニュースばかりだ。
誰がそう呼んだのか?わからないが、このウイルスを「WW1512」と政府は名づけた。。
このウイルスに感染すると、人は無性に笑いたくなってしまうらしい。
どういう仕組みかも分からない。
詳しいことはまだ何も分かっていないが、まだこのウイルスによる死者はでていないようだ。
街の動物たちの存在は忘れられたかのように、今度のニュースはウイルス感染の状況ばかりに変わっていく。
※エール
小さな小部屋のように隔離されているが、たくさんの子供たちが入り、元気よく遊べるほどの広さをもっている。
このスペースは、子供たちの遊び場でもあり、子供たちを守る場所でもある。
その細菌性ウイルスは、ここには流れない。
子供たちは100%アンゼンだ。
「ーーWW1512」
そんなふうに呼ばれているだけで、実際よりもっと大きな病気というイメージをもたせる。
でも、この感染ウイルスはただ笑いだしてしまうだけである。
笑いが止まらなくなる。それだけのウイルスだーー。
なのに、大人たちは働くのをやめ、情けなく家に引きこもっている。
政府がいたるところに取りつけた監視カメラの映像越しに映っている。そんな大人たちの情けない姿をみて、子供たちは画面越しにエールを送る。
「ーーお父さん、お母さん、、頑張って!」
子供たちの声がこだまする。
もっともその声は、大人たちに届くはずもないと分かっているが、しかし、声に出さずにはいられななかった。
大人達は働くのを辞め、危険回避をしているつもりなのだろうか?
一歩も外に出ない。
このままじゃ、動物達がどうのとか、ウイルス感染がどうとか言う前に、栄養失調とかで餓死してしまいそうだ。
「タケルくん。動物達が逃げたのも、このウイルスも、ただの実験なんだよね?」
司は不安そうに聞いた。
「はい!ただの実験ですーー」
※幻滅
大人たちは政府のせいにして、仕事もせず、だらけている。
僕ら子供の事など、始めから存在しなかったかの様に、ダラダラと過ごしている。
「生きる」事さえ、諦めてしまっているように見える。
始めの1日は子供が行方不明だと大騒ぎして、警察署の中に飲み込まれる様にして入って行ったりもしていたが、今では諦めたようにそんな姿さえも見かけない。
ーー大人はダメだ。
ーーこんなんじゃ子供はシッカリと生きていけない。
司は大人達のそんなだらしない姿を見て、そう思った。
ーー僕は大人たちの言いなりにはもうならない。そう心に決めた。
※コドモ会議
「ーーこのジッケンに参加した結果。大人はぼくらコドモを守ることは出来ないんじゃないかと思う。残念だけど。。」
ツカサはいう。
ほかの子供たちも納得するように、うなづいている。
「ーーそこで、だ。ぼくたちコドモから大人に試練を出してみたいとおもう」
さらにツカサは続ける。
いつの間にか、コドモたちの間でリーダーシップを取り始めていた。それがツカサだ。
「シレンてどんな??」
ーーそれは......。
取り囲むようにしている少年たちを見渡すようにしてから、ツカサはいった。
「それを、これからみんなで考えようと思う」
「えぇぇぇぇ。きまってる訳じゃないのー??」
コドモたちの残念そうな声。
ガッカリしたような声がコダマする。
「ぼく一人で考えてきめるのは、平等じゃないからな」
えらそうにつけくわえる。
ーーいつも頼もしくみえた母。
ーーいつも大きな背中をみていたはずの父。
彼ら(オトナ)はもうダメだ。
キンキュウジタイには耐えられない。
そうツカサは決めつけていた。
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