ほんの少し勇気を持って
「ねぇ、鈴香さん。ちょっといいかな?」
「あなたは……南原
「いや………そうじゃ……なくて」
センセェのこと好きなの?どう思ってるの?
長くもないたった一言が、どうしてもあと一歩口から出てくれない。
「えっと………その……最近さ、鈴香さん。センセェとよく会ってるよね。」
「センセェ?ごめんなさい、誰のこと?」
「あっ、立花先生のことなんだけど。」
ここで勇気を持たなきゃ、後悔する。
聞かなきゃ、センセェとのこと。
「あの!センセェと鈴香さんとの間にさ、何かあるの?」
私の質問に鈴木さんは少し難しい顔をして、あるにはあります、そう答えた。
あぁ………私の何かがグラグラ揺れてる。
駄目だ…私の意識とは関係なく、涙が目の縁に溜まっていってる。
嫌だ、涙を見せたくない。
どうしてか分かんないけど、今鈴香さんの前で泣きたくない。
泣いたら、本当にセンセェへの恋心が砕け散っちゃいそうで、
「へ、ヘェ〜、そ、そうなんだ。あはは、忙しいのに引き止めちゃってごめんね。ありがとね、それじゃ!」
私は無理矢理に会話を終わらせて、急いで寮の自室に帰った。
布団に潜って、なんでもない、なんでもないそう思おうとしたって、どうしようもなく涙は止まってくれない。
なぁんだ、こんな簡単に恋って終わるんだ。
もう私の涙は枕をびしょびしょにしようとするまで止まりそうになかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます