恋に盲信、首ったけ
秘密の恋心
「セーンセェっ、ここ座ってもいい?」
「あ、南原さん。いいよ。」
いつも通り端っこのほうのテーブルで、1番安いワカメ蕎麦を食べていた橘センセェの隣に、トレーを置く。
横に座ると少し心臓がドキドキする。
頬っぺた……赤くなってないよね。
「センセェ、本当にワカメ蕎麦好きだね。」
声が上擦らないよう、気を付けながら適当な雑談をセンセェに振る。
「好きっていうか、懐具合だよ。あとは蕎麦って疲れて食欲無さげな時でも食べやすいから。」
「疲れてるって………やっぱり魔法少女のことで?」
「あはは……まぁね。」
魔法少女のこと………夜の寮での噂は知ってるし、同じクラスにも魔法少女の友達が居るから、知らない訳じゃない。
でも、私は魔法少女じゃないし、夜の寮での噂の解決の糸口を知ってる訳でもない。
だから………少し、話を共有できる鈴香さんや緑園寺さんが羨ましく感じる。
あーあ、好きって言えたらなぁ。
たったの2文字だけどどうしても口に出せない。
もし………もし、断られたら、私はきっともうセンセェの横に座れる自信が無い。
そんな私の不安を煽るように、鈴香さんがコチラのテーブルへ歩いてきた。
「橘先生、牧さんが至急数学準備室へ来て欲しいと。」
「あー、分かった。これ食べ終わったらすぐ行くね。」
「分かりました。それなら、ここで待ってます。」
鈴香さんのセリフにセンセェは笑う、といっても苦笑いだけど。
最近妙に鈴香さんとセンセェが近く感じる。急接近してる。
実際、一緒にいる所もよく見かけるし。
もし、鈴香さんが恋のライバルになったら、きっと私は勝てっこない。
はーぁ、私に勇気があったらなぁ。
もっと鈴香さんみたいに文武両道で、綺麗な人だったらなぁ。
そしたら、きっと、告白なんてとっくの前に出来てるのに。
私はいつの間にかセンセェから離れるように、肩を窄めていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます