復刻版:通り魔の怪

もう一人の通り魔

今日は生憎の強い夕立で、ボクも杉崎さんも傘を持ってきていなかった。それに、さっき見つけた通り魔被害者の中学生も。



救急車のサイレンがけたたましく唸りを上げ、被害者の子を乗せて病院へ走っていくのを見送る。


「これで二件目………あの左手につけられたバツ印、流石に偶然じゃ片付けられませんね。」


「……うん。間違いないと思う。」


3年前の魔法少女を狙った連続通り魔事件。あれには立科 花、中根 紗夜に次ぐもう一人、第三の犯人がいた。


ソイツは被害にあった魔法少女3名を含め、中学生ばかり8人を襲い、左手にバツ印を付けるという、3人の中では1人だけルールに則って通り魔を行っていた。



ボク達が魔法少女課に入る以前、樋口さんたちは立科さんと同時にソイツを追っていたが、立科さんとボクが戦ったあたりでパッタリとソイツの犯行が無くなったらしい。


課では恐らく襲った相手に負けるなり、傷を負わされるなりして犯行を止めたのだろう……そう囁かれていた。

先週の土曜日までは。



そして今日、先週の土曜日、いやもっと言えば3年前と全く同じ手口で通り魔が起きた。

ルールは公表されていない。それが2件目となると、それは一つの結論が導かれることになる。




何があったか知らないけどどうやら、3年前に消えたと思われた亡霊が帰ってきたらしい。


はぁ、面倒くさい。

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