どこかで見た顔

「ここが魔法少女課です。」


「さぁ、入りましょう。橘先生」


あーもう、早いって。

若い二人に急かされつつ、私は最低限、教師らしくしようとネクタイを締めながら魔法少女課へ入った。


ーーーーーーーーーー


応接間へ通された私たち。

2人が同じソファへ座ったので、私もだと居心地が悪いだろうから、一つ隣の別のソファへ座る。


そうこうしていると応接間の扉が開き、ピンク髪の小柄な少女を先頭に、外ハネの多い茶髪の女性と白髪の女性の3人が部屋へ入ってきた。


全員、私より幾つも若そうだ。

ピンク髪の子に至っては10歳近く違いそうだなぁ。



………にしても、どっか後ろの2人は見たことある気がするんだよなぁ。


「初めまして、魔法少女課係長の絹川凛です。」


「同じく、職員の杉崎聖䜌です。」


「………梔子です。」



梔子に、杉崎………

あぁー!そうだ!3年前の文化祭で向井 雛と戦ってた魔法少女!

成る程、通りで見覚えあるわけだ。


「初めまして、翠嵐学園高校教師の橘と申します。この2人は生徒の緑園寺美菜、鈴香葦月です。」


絹川さんへ名刺を渡す。


「ご丁寧にありがとうございます。それで、本日の要件は?」


「今日来たのは……」


それから私はウチの学園を取り巻く『ノッカーアッパー』と魔法少女急増の一件を職員の3人へ説明した。


「そうですか………」


「何か、分かりますでしょうか?」


「いえ、大変恐縮なのですが、此方としてもこのような事象は初めてのことで……」


「そう…ですか」


うーん、弱った。

魔法少女課せんもんかが知らないとなると八方塞がりだなぁ。


「此方としても調査の必要があるので、職員を派遣させていただきたいのですが?」


「本当ですか!」


これまた本日2度目のラッキーだ。

プロが来てくれるなら百人力、私の残業もこれで減る!


「聖䜌さん、真白さん、行ける?」


「いやぁ、私たちは別の仕事でヴェイグリア対策本部に呼ばれてますから、残念ながら。」


「私も無理だし………そうだ、あの子に頼もっか。」


「おお、良い案かもですね。彼女にも、そろそろ仕事に慣れてもらわなきゃですし。」


「…………ボクが呼んできます。」


梔子さんが退室し、少しして1人の職員を連れて戻ってきた。


「ど、どうも。た、担当になりました牧 一香です。」


薄く赤みがかった茶色い長髪の女性がペコリと私へお辞儀する。

他の3人に比べて、スーツに着られてるような感じだ。

新人さんか何か?


「あ、あの橘先生。よろしくお願いしまっ!あでっ!」


緊張した面持ちで牧さんは私へ名刺を渡そうとしてずっこけ、手を擦りむく。


あぁ、この感じ…………私の仕事増えそうだな。

牧さんに見えないように小さくため息を吐いた。

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