不協和音世間話(1)
「やっぱり驚きましたね。」
ニコリと笑う杉崎さん。その透明な水に絵の具をポタポタ垂らしたような独特の濁りを持った緑色の瞳は、ライトの反射でやけに怪しく光っている。
「まあ、それは………知り合い?」
立科 花。
性格もあの独自ルールもボクは大の苦手だ。
それに、彼女のおかげでと言うべきか、せいと言うべきか、彼女と関わってから面倒ごとによく巻き込まれるようになったし……
つまり、彼女はボクにとっての苦手No.1魔法少女だ。
それで、目の前の人はそんな人の知り合いで……
もし、この人も同じタイプだったら嫌だなぁ………
「ええ。と言っても、世間話をする程度ですけどね。」
彼女と仲良くはないですよ。杉崎さんの言葉の橋には確かにそんなセリフが含まれていた。
「そうなんだ……。」
あんな堅物、意固地が服着ましたみたいな立科さんが他の魔法少女と世間話かぁ……
駄目だ、ボクの想像の域を超えちゃってイメージできない。
「どうにも彼女のお眼鏡に適ったみたいで。あの娘、よく梔子さんの愚痴を言うんですよ。」
「だろうね。」
「それで、私の興味が梔子さんに。」
杉崎さんはクスっと笑って、ボクと自分を交互に指差す。
「あっ、興味と言ってもプラスの方ですよ。あの娘の考えに賛同してるわけじゃありませんし。むしろ否定的ですから。」
当たり障りのない話。でも、何かやりづらさを感じて仕方ない。
世間話なのに妙に話を切り出せない。
微妙な空気だ。人付き合いは苦手だけどなんだかそれとも違う空気が流れてる気がする。
微妙な空気の中で、杉崎さんのスマホから高い通知音がした。
「相澤さんから、何かの能力で山井さんとはぐれたって連絡です。合流しに行きましょうか。話の続きは……行きがてらにでも。」
スマホを仕舞うと杉崎さんはパッとボクの手をとって、悪戯に微笑む。
魅力的な笑顔だな、やっぱりやりづらい人だな、そんな2つの感情が同時にボクの頭に浮かんだ。
……コンビじゃなくて一人の方が良かったかもなぁ
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